日本エネルギー会議

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原発事故以降の問題

福島第一原発の事故についての分析に比べ、事故後に取られた政策判断や実施された対策についての分析評価が不足している。それらは今も続いているものもあり、今後のためにもしっかりとした検討と早急な修正が必要となっている。適切であったかを検討すべきテーマをいくつか挙げてみよう。
 
1.事故の場合の避難指示の根拠、対象範囲、指示内容、発表の仕方、伝達方法、SPEEDI活用せずの判断。

2.事故発生時の対応体制。政府・原子力関連の委員会組織・原発を運用する電力会社の役員と本店スタッフと現場スタッフ・原発を持つ他の電力会社・原子炉メーカー・研究機関などの相互関係、役割分担、協議方法、記録、対応策決定。

3.地震・津波等自然災害と原発事故の複合災害となった場合の対応体制、国と県、市町村の責任範囲。

4.諸外国特に近隣諸国、国際機関、米軍などに対する情報提供、協力要請。

5.区域区分基準と再編のタイミング、自主避難に関する方針。

6.住民の被曝線量・内部被曝の評価、健康管理。

7.避難などによる関連死の防止対策。

8.法的根拠のない福島以外の原発に対する運転停止要請と受諾。

9.各現場における過酷事故を想定とした訓練の実施。

10.自治体による避難計画作成、訓練実施。

11.除染の基準、方法、タイミング、優先度、国と地方の分担、費用対効果。

12.除染作業と除染で出た放射性廃棄物の仮置き、中間貯蔵、最終処分。

13.事故後に立ち上がった多数の調査委員会の権限と役割分担、設置期間、結果のフォロー責任。

14.エネルギー政策の変更、将来の電源構成目標決定。

15.原子力規制委員会、原子力規制庁の発足。能力・独立性・信頼性の確保。

16.東京電力を破綻させず、国による支援と役員の送り込み。

17.賠償の対象、内容、文科省の委員会、請求支払い方法、ADR裁定強制力。

18.避難者に対する国の税などの減免措置、優遇策。義援金の使途。

19.風評被害対策の内容と実施方法、海外の風評対策。

20.食品の放射能にかかる安全基準の内容、決め方、周知。

21.廃炉計画の決め方。

22.汚染水対策の決定方法、汲み上げた汚染水の管理。

23.廃炉作業員の被曝逓減、作業環境改善。

24.各市町村の復興計画と国や県の支援。廃炉関連の事業拠点化。

これらのテーマを概観したところ、政策や対策上の不都合が起きた原因が、福島第一原発の事故の発生原因や背景と同じであるものが多数あることに驚く。自分たちの組織の安泰を最優先に考えるなど、問題の対処療法に走り、政党・省庁・電力会社などの組織の体質的なものや依存関係は大きく変わってはいない。福島第一原発の事故の影響はまだまだ続いているが、世の中の関心が薄れつるとともに、事故やその後の対応から学ぶことで、より良い社会にしようとする力は衰えつつある。

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