日本エネルギー会議

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浜通りの再エネブーム

原発事故のあった福島県の浜通り地域では、再生可能エネルギーがブームとなっている。県をはじめ、各市町村がこぞって復興計画の中に太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーの発電施設の建設を掲げ、これを次々と実現している。最近の事例をみると特にメガソーラー計画が目立っている。

双葉郡川内村で出力5MW、双葉郡富岡町で出力30MWと出力28MW、双葉郡大熊町で出力1.89MW、双葉郡楢葉町で出力11.5MW、南相馬市鹿島区で出力5.99MW、同市原町区で出力32.3MW、同市小高区で出力2.7MW、飯舘村で10MWのメガソーラーなど。他にもいわき市で7件、相馬市で2件がある。
 
メガソーラーは復興の柱の1つとして、地元の雇用促進とともに売電収益を復興に生かすのが目的としている。浜通りの例ではないが須賀川市の福島空港近くで長野県の企業が運営する26MWのメガソーラーは、東日本大震災と原発事故で経営が悪化し廃業したゴルフ場の跡地76万平方メートルに10万枚のパネルを設置、今年春から稼働している。福島県によると、震災後にゴルフ場が太陽光発電に転用された事例は県内で既に5件。他に計画中が数件ある。メガソーラー躍進の陰に、観光業や農業あるいは牧畜業の衰退があるのは辛いところだ。

福島県は2040年ごろまでに県内のエネルギー需要相当量を再生エネルギーで生み出す目標を掲げており、楢葉町の沖合20キロにある世界最大の浮体式洋上風力発電所の開発も含め、再エネ推進は重要な課題となっている。東北電力も今年、南相馬変電所に、容量40MWhの大容量蓄電池システムを設置して、避難解除区域などに設置する再生可能エネルギーの系統接続可能容量を増やしている。

福島第二原発の廃炉を国や東電に訴え続けている知事としては、再生可能エネルギー開発に力を入れざるを得ないのだろうが、福島の変化に富んだ素晴らしい自然との調和には是非とも注意して欲しいものだ。磐越自動車道の猪苗代インター付近から見る磐梯山の中腹に、開腹手術の跡のようなスキーゲレンデが何本もあるのを見るたびに金儲け優先を感じてしまう。

もう一つ心配なのは、メガソーラーというあまり雇用が期待出来ないが土地と送電線さえあれば汗をかかずに確実に利益が出る産業を増やすことが、地域にとって本当に良いことなのかということだ。原発関連の交付金、補助金、寄付などに財源を依存することで放漫財政になり、地域が次第に地域に根ざした独自の産業を育てる意欲を失っていった歴史が繰り返されるのではないか。県がイノベーションコースト構想で打ち出したような、再生可能エネルギー産業用の試験場や風力発電の部品製造業を浜通りに集積させる方向をさらに力強く進めてほしい。

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