日本エネルギー会議

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推察出来ること

「一事が万事」という言葉がある。わずか一つの物事から、他のすべてのことを推し量ることができる。一つの小さな事柄の調子が他のすべての場合に現れると言う意味だ。

福島第一原発の事故で避難している市町村の住民に東京電力ホールディングスから毎月送付されてくるお知らせカラーコピーのチラシ「第一原発と第二原発の状況」は用語が難しい、文章がわかりにくい、図などが不適切と、何度もこちらから注文を出しているが一向に改善されない。福島原発の廃炉の現場に住民が近づくことは出来ないが、住民からすると東京電力の内部事情を推察するひとつの手段となっている。

チラシの片隅には「内容についてのお問い合わせ先 復興推進室 電話番号…」となっているが、そこに電話すると「対応出来るものに替ります」と待たされ、新たに電話に出てきた人は、まともに説明が出来ない。「ノッチタンク」「ブローアウトパネル」などの用語について尋ねても答えられない。そんな人を担当にしていること自体、東京電力の姿勢が疑われる。

さらに何故こんなわかりにくいものを住民に配っているのかと、注意してチラシを見ると片隅に「中長期ロードマップ進捗状況より抜粋」と書いてある。なるほど、このチラシは経産省と東京電力が作成している公表文からコピペして紙面をレイアウトしただけのものだったのだ。こちらが「手抜きではないか」と言うと、担当者は「ネットで見ることが出来ない住民の方々がいると考えてのサービスをしています」と回答があった。そもそも住民の知識レベルに合わせて噛み砕いて説明しようということではないようだ。

東京電力にしても住民に少しでも安心してもらいたいがゆえに金と労力をかけて全世帯配布をしているのだろう。それであれば、「一事が万事」と思われないようにしなくてはならないはずだ。住民に対して広報活動をやっていますというアリバイづくりはもうたくさんだ。復興本社のトップは元広報マンのはず。だが、おそらくこのチラシは読んでいないのだろう。

住民目線ではなく絶えず上から目線、住民を甘くみている。外部や現場からの声は下から上にあがらないパイプつまり、目先の仕事が忙しくまったく余裕がない。上からの命令があれば一気に片付くなど、事故前の東京電力体質がまだしっかり残っているという印象だ。これでは廃炉現場での仕事ぶりが目に浮かんでしまうというのは考えすぎだろうか。

後日談がある。このチラシを住民に届ける手伝いをしている富岡町役場に電話をして担当者に「内容がわかりづらい。言葉が難しいと思わないか」と聞いたところ、「チラシは当方で町の広報誌を配布する際に同封しているだけで、内容については知りません」との返事なので、「チラシの中身を読んだことがあるのか」と言うと「自宅にも配布されてきますので見てはいますが、文章を読んだことはなかったです。今言われて読んだのですが確かにわかりづらいですね」と答えた。住民が理解できようが出来まいが、東京電力に依頼されたから同封してやっているのだということらしい。どうせ何を配っても住民は読まないということを見越しているのかもしれない。

「町は東京電力側と定期的に会合を持っているので、その際に聞いておきましょう」という回答を引き出すのがやっとであった。ここにも住民目線に欠けた組織が存在した。

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