日本エネルギー会議

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長期停止の影響(2)

福島第一原発の事故が起きてから、全国の原発のほとんどがかつて経験したことのないような長期の停止をしている。今までも不祥事などが原因で多くの原発が一年以上も停止したが、これほどの基数が5年以上も停止することは世界でも例がない。しかも、この状況がまだしばらくは続くだろうというところに問題の深刻さがある。また、この間に多くの原発では新基準に適合させるために設備の増設、改造が行われる。この前代未聞とも言うべき状況に対して、どのような影響が現れ、それに対する対応が適切に行われているかを人、モノ、カネで検証する必要がある。第二回目はモノに関して。
1.
コンクリート製の建家、構築物、内部の鉄構、壁や床の塗装に至るまで経年により劣化が進む。強度や密閉性などを確認する必要があるが、停止期間中に適切なメンテナンスがされていることが前提となる。
2.
機器について同じく劣化が生ずる。錆の発生、材料のひび割れや硬化・変形、ゴミや海生物の付着、元の設備と新たに加わった設備との接続、バランス、干渉の有無、なじみなどで問題が生じていないか確認が必要となる。これについては停止期間中に適切な空調管理、消耗品の取り替え、清掃、点検が行われていることが前提となる。
3.
実物検査によらず評価により健全性を確認するものは、評価方法についての妥当性をも問われることになるため、これらについて十分に説得力のある説明がなされなくてはならない。
4.
運転再開前には多くの点検が行われる。長期停止後に運転再開した時には、振動、蒸気漏れや水漏れ、短絡、誤作動、逆回転などが起きることが過去の事例でわかっている。点検そのものによっても問題が生じることがある。揚重機のボルトが締まっているか点検するために、一旦ボルトを緩めて再度締め直す際に、緩めたボルトをそのままにしてしまい発電機のローターを運んできた船の中に落としてしまった例がある。配線のつなぎ込みでもよくミスが起きる。また、工事中の異物混入も気をつけなくてはならない。
5.
増設したり改造したりした場合、運転員や保修員が使う図面や手順書と現物に齟齬がないようにしなければならない。図面が直っていなかったためにトラブルを起こした例もある。図面や手順書も機器の一部と思わなくてはならない。
  
6.
当該原発が長期に停止している間に、新たな知見が得られたり、優れた技術が開発されたりすることがある。この場合、規制基準上は問題がなくとも、少しでも安全なものを採用するという観点からは、機器・部品の取り替えが望ましい。しかし、それには費用がかかるのと、運転再開がさらに遅れてしまうという問題があり、難しい判断を迫られることになる。

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