日本エネルギー会議

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寺田証言を読みましたか(2)

最近読んだものの中で大変重要だと思ったのが、福島第一原発の事故当時、総理補佐官だった寺田氏が書いた事故対応に関する証言。私の得た感想と得られたヒントの第二回です。証言そのものを併せてお読みになるにはハフィントンポストでお読みください。

2011年3月11日。寺田学氏は、菅直人首相(当時)の下、首相補佐官として東日本大震災を経験した。「自分や官邸関係者には不利なこともありますが、それでも正直に記すことが被害に遭われた方や未来の方々への微かな誠意と思っております」と語る寺田氏の証言は3月にブログで公開され、その後8回にわたってハフポスト日本版に掲載された。本人が、事故調査委員会に証言した話に加え、聞かれなかった内容も含まれている。
目次ば次のとおり。
【1】3月11日
【2】重要免震棟へ
【3】福島原発、爆発
【4】東電、撤退用意
【5】統合本部設置へ
【6】首都圏に放射性物質
【7】反転攻勢
【8】最悪のシナリオ等

第二章に関して私の感想と得られたヒントなど

官邸には原発事故の現場に行く際の防護服、防護装備などの準備をしておく必要がある。長靴を準備せず、水害の被災地でおんぶされ水たまりをわたった内閣府復興政務官の問題は、いまだにそのあたりの意識改革と準備が出来ていないことを表している。ヘリの搭乗者の外部、内部の被曝線量の測定や被曝を軽減するための準備も普段からしておく必要がある。

ベントと原発上空の飛行あるいは現地視察のタイミングは大丈夫なのか。ベントの際の周辺の条件や規制について、どのようなルールになっているのか、いまだにはっきりとしていない。福島第一原発の事故では吉田所長が住民(大熊町、双葉町だけだったのが問題であるが)の避難完了がベントの前に必要と認識していたようだ。避難計画は自治体でと突き放している原子力規制委員会も、少なくともベントと避難の関係をあきらかにする責任があるのではないか。

総理が技術系である程度の知識がある場合と事務系である場合がある。歴代総理で知見が異なるはず。たまたま知識があったというようなことでは困る。技術系であっても他の分野であれば知識が役立つことはあまりない。総理が官房長官に留守を任せて、現場に行くのはかなりのリスクがある。 (最高司令官は行くべきではないと考えるが)、どうしても行かなくてはならない場合に、どのようにリスクを減らしていくのか検討する必要がある。電力会社では原発所長が事務系(福島第一原発の事故以降、事務系を所長に任命することはないとは思うが…)の場合、副所長に実力のある技術系の人材を任命していた。

衛星携帯電話が使用出来ない場合を計算に入れる必要がある。一般の電話や普通の携帯電話が大災害時には使えないことが多いことは知られているが、それに対して衛星携帯電話があるから大丈夫という説明で終わっている。福島第一原発の事故の際、何故、衛星電話が使えなかったのか原因と対策が必要である。

福島第一原発の免震重要棟の建物ではメーカーや工事会社の作業者がたくさんいて手狭であった。対応が長期間になるので、社員以外の人たちのための免震棟も作っておく必要がある。あるいは請負側の詰所も免震や放射能防護の設備をしておくべきである。

圧力容器や格納容器は何故破裂しなかったのか。格納容器はベントしなくても、自然にどこかが壊れて破裂しない構造なのか。最初に内圧が高まった圧力容器では、どこから水蒸気が格納容器内に漏れたのか。(上部の蓋と胴体のつなぎ目、いくつかある水や蒸気の配管、あるいは制御棒や計測装置が圧力容器を貫通している部分などが考えられる) 結果的には容器は破裂や爆発はしなかったが、どのようにしてそうなったのか解明が求められる。対策を追加するとすればどのようなことかについても明らかにする必要がある。

作業員に対して、手動操作などに係る被曝をどの程度まで許すか。事故後に限度の数値は変更されたが、どんなことがあってもそれは守るのか。原発の緊急時の遠隔操作化はどこまで出来たのか。今後事故の際の危険度の高い作業は誰の指示で誰がやるのか決まったのか。寺田氏も民間会社の社員に対して国が指示を出すのは疑問視している。では原子力規制庁の職員が行えるのかなどを解明する必要がある。下請の作業員に対する指示命令は企業間の契約や企業と労働組合や個人との契約により、しっかり担保されているのか。(福島第一原発の事故では、契約によらず、関係者の善意に全面的に依存していた)

現場の放射線量が非常に高い状況は、過酷事故の現場では可能性が十分にある。ベントの手動操作に限らず、どのようなことが考えられるか十分に検討して対策を講じておく必要がある。また、放射線でなく高温で人が立ち入れない、視界がない、酸欠の恐れがある、水深があって入れないというケースも検討するべきである。

福島第一原発の吉田所長、福島第二原発の増田の両所長について、その事故対応ぶりを賞賛しているが、東海第二原発の剣田所長も同じく賞賛すべきである。原発の所長の資格条件はつくるべきか。民間で作っている原子力安全推進協会が所長クラスの教育をしているが、それだけでよいのか。中央制御室で当直勤務する運転管理責任者や旅客機の機長のように公の試験や訓練が必要ではないのか。

総理が書類にサインをしたことが書かれているが、現場でサインする必要があるような書類とはどんなものなのか。総理と東電の副社長や所長との会議の記録はどうなっているのか。

ヘリは暖機運転などが必要で、直ちには離陸出来ないことを関係者は認識すべき。また、どの大きさのヘリであればどのような作業が可能かについても明らかにしておく必要がある。

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