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シン・ゴジラ

邦画「シン・ゴジラ」が評判です。東京湾にゴジラが現れて上陸し、政府の対応が混乱し尽くすというストーリーのようです。まだ観ていませんが郡山市の映画館でもやっているようなので観ようと思っています。知り合いのお孫さんが「汚くて臭いから郡山の映画館はいや」と言っているので行く気が削がれ、とりあえずネットであらすじや著名人のコラムなど読みました。(あらすじを知りたい方は文末をご覧ください)

緊急時にも組織は平常時の運用と同じ議論の仕方をしてしまう、専門家が自分たちの立場を守ることを第一に考える、誰も総合的に見て判断する人がいない、日本国のリスクを少なくするためでなく自分あるいは自分たちの部署のリスクを少なくすること考えてしまうなど原発事故の対応における各組織の行動を彷彿とさせるようです。

全体に言えることですが、作者には福島第一原発の事故の際の政府の対応の混乱ぶりが念頭にあると感じます。私のエッセイ「寺田証言を読みましたか」と完全に重なってきます。ゴジラ退治の方法が「凍結剤の投入」であるなど福島第一原発事故の汚染水対策からヒントを得たように思えるのは考えすぎでしょうか。

私が福島第一原発の事故の後、業界内(原子力村)のことをお話すると、皆さんは「それはどの業界もそうです」とおっしゃっていましたが、若い方も含め観客は自らの仕事の経験で組織内のこうした問題を体験されているので大きな共感を持ち、主人公の副官房長官(そんな人は現実にはいないのですが)に拍手するのでしょう。

この映画が作られた背景には、北朝鮮の核弾頭をつけたミサイルや中国との尖閣における衝突、あるいは異常気象による大災害というように、最近大きなリスクが身近になったことがあるようです。昨日、テレビ出演(BS -TBS)した自民党の石破氏が、シン・ゴジラに触れ特に北朝鮮の脅威が他の脅威とくらべものにならぬと強調していました。

この映画の意義(あるいは久しぶりのヒット)は日本全国にゴジラ(大きなリスク)が存在すること、多くの組織特に大組織がゴジラに対応出来る状態にないことを指摘したことではないかと思います。

でも、映画の中では「この国はまだまだやれる」と希望を持たせているのは楽観的過ぎると言わざるを得ません。やっぱり興業的な映画です。福島第一原発の事故を沈静化させる過程では驚く程多くの幸運があったことを思うと、私はそう楽観的にはなれません。

映画ではゴジラは退治出来ましたが、福島では今もゴジラが退治出来ず、これから何十年の歳月と何兆円もの国民負担を伴う闘いが続いていきます。福島で実際にゴジラの被害にあった者からすれば、映画の描き方にはまだまだ厳しさが不足しているように思えます。
シン・ゴジラのあらすじは「映画ウォッチ」で読むことができます。

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