日本エネルギー会議

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原発と知事選

鹿児島県に続いて新潟県にも原発再稼働に厳しい知事が現れた。一昨日の新潟県知事選挙は原発反対派にとって勝利の方程式が見えてきた選挙だった。この結果について、メディアでは与党の自民党や公明党側が組織に頼り切ったのが敗因とか、前知事の強引な引きずり下ろし方に問題があったとか、当初の圧倒的優勢で油断したなど様々な分析がされている。

だが、与党側の敗因は原発を争点にされたことに尽きる。読売新聞が当日行った出口調査では、投票の際に重視した政策課題で最も多かったのが「原発再稼働」(36%)で、原発再稼働を重視した人の81%は米山氏に投票し、森氏に投票した人はわずか16%だった。投票率は前回よりも9%あがって53・05%。このことも原発争点の選挙への関心の高さを表している。原発再稼働に対する心配は支持する党派を超えているということだ。

立地自治体では圧倒的な与党推進派も全県特に立地地域から離れた県庁所在地などでは分が悪い。立地自治体では雇用、交付金などのメリットが大きく、原発の存在は日常生活と密接であり、長年の地域貢献により原発支持の雰囲気がしっかり醸成されている。ここに原発反対や再稼働に慎重な候補者が立っても勝ち目はない。

これに対して、立地地域から離れるほどに、原発があることで風評被害は受けているが、直接的なメリットを感じていない人々が多数を占めている。経済界も原発中心ではなく、その地域の伝統的な産業が中心だ。電力会社は地方経済界の雄だが最近はご威光に陰りも見られる。

知事選の場合、全県の有権者が投票するため、大票田は県庁所在地などの大都市となる。原発が立地している地域は大都市から遠く離れた過疎地域であり票は少ない。これではいくら立地地域が結束しても結果は人口密集している都市部の票に左右される。福島第一原発の事故によって、万一の事故の際は被害が遠くにも及び、かつ長期間にわたって観光や生産品に風評被害が出ること、立地地域の住民が都市部に避難で流れ込んでくる負担などについて、都市部の住民に原発の事故の影響が具体的にわかるようになった。

新潟県は福島県と隣接しており、東京電力の福島第一原発と柏崎刈羽原発との社員や下請け作業者の行き来もあり、また福島県からの避難者を数多く受け入れたことから間接的ではあるが原発事故の被害の実態が県民によく伝わっていた。泉田前知事が東京電力に対して事故原因の真相を求めて県の特別委員会を活用して、東京電力からメルトダウンを隠蔽していたことを認めさせるなど、自治体が原発の運営に対して相当に牽制が出来ることを示していたため、住民は原発再稼働に慎重な知事であれば国や電力会社に十分対抗出来そうだという感触も得ていた。与党側は再稼働に慎重であることを選挙中に発信しても、もともと原発再稼働推進政策であるため、野党側のように歯切れの良いことは言えないのが辛いところ。

今回の知事選で野党側は原発再稼働を争点にして野党共闘すれば、従来与党に投票してきた都市部の保守支持の有権者をも野党側の候補者に投票させることが出来ることを学んだ。今後、野党側は原発立地県だけでなく、滋賀県などのような立地県に隣接する県においても、原発を争点にこの勝ちパターンで知事選を闘うことが考えられる。それは来るべき国政選挙においても与党側候補者の踏み絵となる可能性がある。支持率しか頭にない安倍政権が、よもや原発維持政策までを犠牲にして再稼働慎重論に与するとは思えないが、与党側の候補者たちは今から頭が痛いはずだ。

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