日本エネルギー会議

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台湾の脱原発

台湾政府が民意を受けて2025年までに脱原発することを閣議決定、年内にも国会にあたる立法院で可決を目指す。(このニュースは昨日、朝日新聞など少数のメディアで報じられた) 再生可能エネルギーを20パーセントまで高めることで補完することを目指すが、実現には厳しい現実が待ち受けている。現在、台湾には三つのサイトに計6基の原発があり、電源構成上は14パーセントを占めているが、四つ目のサイトの2基は反対運動により長らく完成が伸び、現在は稼働が凍結されている。

大陸の沿岸部に大量の原発を建設している中国の目と鼻の先での脱原発だが、福島第一原発の事故後の反原発の民意を反映したものだ。エネルギーに関する状況は日本と似ているが、地政学的には台湾の方が日本より厳しい。九州ほどの広さの島国で日本と同じように地震国であり、太平洋から大きな津波が襲う可能性が大きい。第一原発、第二原発のサイトも首都の台北から20キロという近さ。第三原発も高雄市から近い。大都市の住民は避難手段も避難先も時間もない。2001年には送電線への塩霧害の影響により第三原発で2時間にわたり外部電源、内部電源をともに喪失するという事態になって、あわや過酷事故になりかけている。台湾の原発はアメリカ製だが、国交のない日本とも原産協会(以前の原産会議)を通じて日台原子力セミナーを開催するなど、日本の原子力業界との交流があり、GEが手を引いた第四発電所の完成に向けて東芝が協力した実績もある。
台湾の人々の原発事故に対する恐怖感はかなりなものだ。台湾は福島原発事故の直後から福島、茨城、栃木、群馬、千葉の5県からの食品の輸入を禁止した。福島の事故後に日本の原子力委員会にあたる原子能委員会の事務局幹部が二度にわたり福島県内を視察、避難や除染について調査している。そのような視察をした国は台湾以外にはない。私は彼らを現地案内した関係で、後日招聘されて台湾の行政院原子能委員会の関係者に原発事故に伴う避難状況について講演を行ったが、彼らは原発事故の実態に真剣に耳を傾け多くの質問が出た。

台湾のエネルギー自給率は1パーセント未満。原発を廃止した場合、火力発電と再生可能エネルギー(現在は4パーセントに過ぎない)に依存することになる。これを9年間で達成するのは極めて困難なことと思われるが、政府はこの思い切った政策により民間主導で投資を呼び込み雇用を増やせるとしている。節電や蓄電にも取り組むとしているが、太陽光発電や風力発電の条件は比較的良いようだ。近年、太陽光発電のコストが大幅に下がっているのも追い風だ。

やっかいなのは、台湾が地震とともに台風の通り道であることだ。先日のようなスーパー台風に襲われれば、太陽光発電、風力発電の設備に大被害が出ることは十分に予想される。日本が開発した強風時に折りたたむことが出来る可倒式風力発電設備が役に立つかも知れない。

沖縄県粟国島の風車の全景(左)と倒した状態(右)。出典:沖縄電力

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