日本エネルギー会議

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廃炉費用負担の不公平

経済産業省は福島第一原発の事故の廃炉費用が当初予想より膨らむことに対し、その費用の一部を新電力が支払う「託送料」(送電網の使用料)に上乗せすることを検討している。託送料が上がれば、せっかく自由化した電力の小売市場育成にはマイナスで、新電力や消費者からは反対の声があがりそうだ。経済産業省は、大手電力会社が所有する原発で発電する安い電力を新電力も購入出来るようにすることで託送料アップの埋め合わせをしていく「アメとムチの作戦」を取る予定だ。

メガソーラーやウィンドファームでビジネスをしている企業は、託送料アップの影響をもろに受ける。これに対して、住宅用の太陽光発電を設置した世帯は発電した電気の約三分の一を自家消費しており、その分は託送料金なしの電気となる。

従来も、住宅用太陽光発電に対する高い価格での買取りは「ソーラーパネルを上げるだけの余裕のある金持ちにしかメリットがない。経済格差を助長するだけだ」との批判があった。事実、電力会社が太陽光発電などの再生可能エネルギーから電気を買取るのに必要な費用は、賦課金として消費者から徴収しており、その額は年々増加して家計を圧迫している。今後、一般家庭と住宅用太陽光発電をしている家庭は、廃炉費用負担の有り無しでこの格差がさらに拡大することになる。

標準的な住宅用太陽光発電装置は数年前200万円程度したが、今は半値に迫っており、住宅メーカーによっては住宅価格に織り込んだり、サービスとしてつけるといったことまで行われている。その結果、家の新築や改造に併せて太陽光発電設備をつけるケースが多くなっている。メガソーラーが立地難や接続制限などで頭打ちになっても、住宅用太陽光発電は着実に伸びる。太陽光発電装置を持つ家庭は、設置してから十年後の固定価格買取りが終わる頃になると、家庭用蓄電池を設置するなど、電力会社からの高い電気を出来るだけ買わないようにするだろう。

これから原発の廃炉や使用済み燃料の保管費用がかさめば、経済産業省は託送料金にさらに上乗せし、ますます自前の電源を持たない人たちの廃炉費用負担が増していくことになる。 「住宅用の太陽光発電が普及すればするほど、賦課金と廃炉費用などの負担が太陽光発電を持たない人たちにのしかかる」という弱い者いじめの政策を許してよいものだろうか。

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