日本エネルギー会議

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摂氏45度

NHKスペシャル「MEGA CRISIS 巨大危機 ~脅威と闘う者たち~ 第1集 加速する異常気象との闘い温暖化による異常気象」(本年9月4日放送)をご覧になっただろうか。民放でも温暖化による異常気象についての番組があるが、今回は台風が集中的に来たあとだっただけにより切実な感じがした。

北海道、岩手などで起きたような洪水と土砂災害が全国で年中繰り返されれば、国は疲弊し人々の暮らしも大打撃を受ける。特に大都市圏で起きた場合は、とんでもないことになりそうだ。洪水や高潮による水没だけでなく、番組で紹介されたように、そう遠くもない将来、名古屋市で気温が摂氏45度にもなれば人が生きていける場所ではなくなる。竜巻や落雷も脅威となりそうだ。

福島で暮らしていても、雨の降り方や農作物の出来があきらかにおかしいと感じる。昨年の奥会津の豪雨被害はいまだに復旧していない。今年は桃も梨もおいしくない。名物の見知らず柿も春の雪でダメなようだ。観測史上例のない降雨の記録が続出し、ここまで異変が実感されると、高齢者であっても「自分が生きている間はなんとか大丈夫なのでは」という思いを放棄せざるを得ない。これからの世代がどのような試練を受けるようになるかと考えると愕然とする。

福島第一原発の事故を契機に世界各地で原子力開発にブレーキがかかってしまい、火力発電で代替したため二酸化炭素を排出してしまったことも悔やまれる。こう言っては袋叩きに遭うかもしれないが、これから起こる異常気象の被害に比べれば、原発事故の被害や放射性廃棄物の問題など人類にとって十分にまだコントロール可能なものだ。

産業やインフラは破壊され、人々は安全に住める場所を失い、食料危機に見舞われ、熱帯の伝染病が蔓延し世界は人口爆発どころか半分以下になる。植物が以前より繁茂し、産業活動が落ち込むことでようやく人の活動による二酸化炭素の排出が減り始めるが、溶けてしまった凍土からのメタンガスの排出や海面上昇は止まらない。海は熱く絶えず台風が発生し、地上は終末思想が描くところの地獄になる。動植物は逃れるすべなく絶滅する。

小松左京の「日本沈没」を読んだときは、こんなに一度に地震や火山が活動するわけがない。フィクションとして時間を早回しにしていると勝手に思っていたが、今直面している温暖化の影響については事態の悪化が加速しており、時間が切迫しているように感じるのだ。

「日本沈没」で、日本人は日本列島を捨てて海外に移住するが、今回は行くところがない。世界中の人々が少しでも安全な土地を求めて地球上をさまよう復活なき終末だ。なんと愚かな人類であったのだろうか。

歴史においては、大災害の続いた時代には終末思想が広がったが、温暖化による災害が猛威を振るい続ければ、いずれそのような考えも現れ、人類の存続に多くの人が悲観的になる可能性がある。既に時遅し。もう何をやっても温暖化は止められないという学者もいる。絶望から逆に享楽的になる人も出るだろうが、ここは乾坤一擲、従来の対策をなぞるのではなく、革新的な対策を打ち出すのが現世代に課せられた使命であり、このような状況にしてしまった今までの行為に対する贖罪であるはずだ。

画期的な温暖化ガス排出抑制目標を掲げたパリ協定が発効したが、皮肉なことにここに来て世界中で近視眼的な自国ファーストの考えが蔓延しはじめた。大局的な立場で物を考える、宇宙規模でのバランスを取ること、そのためにそれぞれが役割をしっかり果たさねばならないことを世界中の人々に説いていかねばならないが、果たして日本はそのリーダーシップをとれるのだろうか。

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