日本エネルギー会議

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貧しい国語力

東京電力は避難している富岡町民に町役場経由で月一回、廃炉の取組状況を書いたパンフレットを届けている。次の文章はその一部だ。

「陸側遮水壁の状況」
陸側遮水壁の凍結を進め、海側については10月上旬には補助工法が完了し、計画していた全ての範囲が0°度C以下となる見込みです。山側は全体の95%を凍結し、約92%が0°度C以下となっています。

地下水位は、(海側・山側)とも上流側が下流側に比べて高く、その差は拡大・維持する傾向です。今後、水の収支バランスの状況を確認し、陸側遮水壁(海側)の効果を評価していきます。

文の横には福島第一原発の平面図があり、そこには「山側陸側」ではなく「東側」とか「西側」という表示のみがある。一連の文章と図には「陸側」「海側」「山側」「上流側」「下流側」「東側」「西側」という表現がバラバラに入っており、何度読んでも内容は理解出来ない。

これが、東京電力が原子力規制委員会によく「効果に疑問」と言われニュースになる汚染水対策の遮水壁に関する住民向け説明である。富岡町役場の担当者に意味がわかるか聞いたところ「わからない」と回答。しかたがないので東京電力の復興推進室に問合わせたが「わかりにくいのは確か」と回答してきた。
パンフレットの片隅には「中長期ロードマップ進捗状況」2016年9月29日公表分」より抜粋とある。

住民に理解してもらいたいとの主旨で配布しているパンフレットだが、「親切心の欠片もない」文章だ。これを読んだ住民は、馬鹿にしているとしか思わないだろう。もっとも誰もまともに読んでいないのだが…。役場の担当者も「私の家にも送られてきますが、見ていても読んだことはありませんね」と言うのには苦笑するしかなかった。

国と東京電力で定期的に作成している「進捗状況」がこの程度の文章で書かれていること自体驚くべきことだ。普通の会社では社内文章としても「落第」間違いなしであるし、住民に対する広報として書くのならなおさらのことだ。ここに示した以外にも「内容の理解出来ない文章」の例はたくさんある。よくある「専門用語が素人にはわからない」とは違う問題だ。

この問題はここ半年かけて東京電力の復興推進室に改善をお願いしているが、いまだに治らない。富岡町を通じて注意もしてもらったがダメだ。何故治らないかと考えたが、これは組織内のパイプ詰まりか、上から言われたことしかやらない社員の集まりか、管理者が「放っておけ」と指示しているかのどれかだろう。文書の作成に関しては東京電力の社員だけでなく国の役人も関与しているというから、それも治らない原因なのかもしれない。

いずれにしてもこのパンフレットの作成と配布の費用は、廃炉費用として国民負担になる性質のものだから看過できないと考える。原因は「中長期ロードマップ進捗状況」の文章をやさしく書き直さずに住民向けにしていることが手抜きなのだ。しかし、それ以上にこの程度の文章しか書けない職員(国と東京電力)が困難な廃炉計画を進めていると思うと、情けないより恐ろしい気がする。

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