日本エネルギー会議

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誰もが頷く結論

1月13日のNHKクローズアップ東北では、原発事故による避難で置き去りにされたペットの問題を取り上げていた。環境省は当時、物とペットを区別する余裕もなく、避難区域から汚染が広がらないことを方針としていたが、その後に避難の際のペットは原則同行避難とした。番組ではいまだに避難区域につながれている犬や猫に飼い主に代わって餌をやりに定期的に現地を訪れるボランティアの様子とボランティアがやたらに餌を置いていくので、イノシシがそれを食べて繁殖して迷惑しているとの地元の苦情などを紹介していた。
 先週、横浜での避難した学童に対するいじめ問題が大きく報じられた。避難した人々は大人も子供もなんらかのいじめや差別を受けたり、怨嗟の目を向けられたりした経験がある。福島県産の農林水産物に対する風評被害をなくすためのキャンペーン活動には内堀知事もその都度顔を出すが、台湾はいまだに福島産の食品輸入を許さない。
福島県民にとってさまざまに理不尽なことがいまだに続いており、特に県民の間、避難者の間でも補償の差などからおもしろくない思いをしている人がたくさんいる。家族の間でも、若い世代と高齢者がばらばらに避難生活をしていたり、どこに家を持つかについて意見が合わなかったりしている例もある。
 どちらが悪い、国や県のやり方がよくない、県外の人たちの理解不足が問題だ、いや避難者がもう少し冷静になる必要がある、避難者同士で言い争いすべきではないなどさまざまな意見が飛び交うが、結局「大地震、大津波は自然現象だからしかたがない。だが、原発は人が作ったものだ。大津波が原発の事故を引き起こしたというが、原発がなければ津波が来てもこんな長期間の避難などもなく、難しい問題も起きなかった」「原発さえなければよかったのだ。もう原発はいらないね」という結論には福島県では福島第二原発を再稼働しても危険性は少ないと考えている人も含め、誰もが頷いてしまう。
 福島県議会が県内全原発の廃炉を決議し、知事が何度となく国や東京電力に第二原発の廃炉の要請をする背後には、こうした県民なら誰しも頷く結論があることを理解しなければならない。原発事故によって、外部からはいろいろ言われ、内輪もめもする。町に自由に出入りできなくなった、土地が汚染された、家が住めなくなるほど傷んだ、仕事や商売を失った、地震や津波の復興が遅れた、故郷を追われたという実害に加えて、互いにおもしろくない感情が産まれてしまったことに県民ひとりひとりが腹を立てている。

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