日本エネルギー会議

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KY人間(1)

現場経験の長い私には「KY」といえば安全用語としての「(K)危険」「(Y)予知」のことだが、近頃世間では「(K)空気」「(Y)読めない」の頭文字をとった略語として使われることが多い。実際に使用する場合は「場の雰囲気を察して、的確な状況判断ができない人のこと」を意味し、具体的には場違いな発言や行動をする人のことを指すようだ。
組織内からKY人間を追放することで、組織内では誰もが絶えず権力者の意向を探り、方針に忠実、現状肯定に徹し、それに反する言動を慎むようになる。その結果、問題に気づいても敢えて沈黙を守ることに徹する。かつて福島第一原発で新人の技術系職員が先輩に「電気室がタービン建屋の地下にあることで浸水すれば電源喪失の恐れがある」と指摘したところ「それはタブーだ」と言われた。「お前はKY人間」と言われたのと同じだ。組織内からKY人間を追放してしまうと、組織のトップには内部から重要な情報はもとより外部からの警告も入らなくなる。こうして組織は大失敗、大事故、存続の危機に向かう。
 
組織が内部のKY人間を追放しようとするのは、
・すべては緻密に練り上げられた計画の下にあり、融通の効かない予算がついており時間的な制約がある。KY人間に騒がれてはノルマが達成出来なくなる。KY人間が言うことが正論であるかもしれないが、サイは投げられているので、いまさら最初からやり直すことは出来ない。
・いままで諸先輩がやってきたことを全く否定することになる。直すにしても過去に経営トップや役所などに説明してきたことが嘘になり、いまさら言えない。上司が「それはタブー」という裏にはそのようなことがある。
・上位職者にKY人間を理屈で説得する自信がない。まともに議論をすれば負けてしまう。認めるようであれば、上位職の権威が失われてしまう。トップから、部門の管理者が部内の意見をまとめきれていないように評価される。
・外部の敵対的勢力から組織内部にも異論があると攻撃を受ける恐れがあり、それを契機に組織が苦しい立場に追い込まれる。特に計画などが重大局面にある、あるいは既に事故などを起こしておりさらに問題を起こすことは避けなければならない場合、異論を組織内から排除したい気持ちが強くなる。
・組織内に理屈や議論することより決断や実行が大切という現実的な考えが強すぎる。その行き着くところは精神論となる。
・自部門、自社だけでなく他部門、他社など業界全体に影響が広がる恐れがあり、そうなれば迷惑をかけることになる。他部門の事に関しては口出し無用、それぞれが自部門だけをしっかりやればよいという考えが蔓延している。
・組織が圧倒的な業績や既得権を持ち、組織内にいれば良い処遇が得られ、将来も困らない生活が出来る。そのため少しでも波風が立たないように心がけている。
・もし異論が正しければ、万一の場合に「とてつもないこと」となるが、その確率は極めて小さく、異論を押さえ込んでも当面大丈夫という考え。

次回は組織が内部のKY人間を追放せずに役立てるようにするにはどうすればよいかについて。

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