日本エネルギー会議

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経験者に期待

原子力規制庁の歴代三人目長官に安井正也氏が今月半ばに就任した。インタビューで「福島の体験を忘れずに頑張りたい」と述べたと報じられたが、原発事故で避難した経験を持つ者からすれば大いに期待したいところだ。出身は経済産業省資源エネルギー庁で、結局、規制庁は再び経産省の影響力の下になったと心配する向きもあるが、一人目が警察庁、二人目が環境省出身だったことからすれば原子力技術に精通した学歴職歴であり、なによりも福島第一原発当時、首相官邸で事故対応の経験をしていることが評価出来るのではないか。
 官僚として原発の過酷事故に遭遇することは極めて珍しいことだが、事故が起きたとたんに、今までの原子力開発や行政が間違っていた点を瞬時に理解したはずである。「前提にとらわれず、ここで良いと思わず、事故は起こり得ると備えを怠らないことが大事」「規制庁の課題の中でも緊急時の対応能力や訓練を大事にしたい」と本人が抱負を語っていることからも、それがわかる。
事故は残念なことであり、繰り返してはいけないが、教育訓練でどれほど真に迫ったことをしたとしても実体験にははるかに及ぶものではない。事故から6年も経過すると、官僚だけでなく当時の東京電力の経営陣、発電所の幹部の多くが既にリタイアしてしまっているが、貴重な経験を活かす場があまり与えられていないことはまことに惜しい気がする。まだ現役でいる人たちは廃炉で奮闘しているが、彼らも本当は廃炉よりも再稼働する原発の運営や規制に役立つ方が望ましいと考える。
 三人目が就任したばかりで、こんなことを言うのは早すぎるかもしれないが、
四人目以降には過酷事故を経験した人を得るのは難しいだろう。安井長官には思う存分やってもらうとして、後任をどうするかをすぐに考え始めておいて欲しいものだ。

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