日本エネルギー会議

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サバイバルファミリー

 最近、サバイバルファミリーという映画が作られた。シンゴジラと同じように大都市がパニックになる設定だが、矢口史靖監督はゴジラではなく東京大停電を危機のきっかけとして採用。先日のケーブル火災による都内の大規模な停電でもわかるように、ゴジラよりはずっと現実的だ。原因不明の電気消滅によって廃墟寸前となった東京から脱出した一家の奮闘をコミカルに描いたサバイバルドラマだ。東京は大混乱、交通機関や電話、ガス、水道まで完全にストップした生活に人々が困り果てる中、主人公は家族を連れて東京脱出を決意する…。
 あらすじを読んだだけでまだ映画は見ていないが内容は想像がつく。私が注目したのは、いきなり原因不明で全停電となる映画の始まり方だ。大事故が起きる、起きないではなく、起きることが前提となっていること。映画を観ている人は、どうして大停電が起きたかと最後まで疑問を持ちながら主人公一家の避難に付き合うことになる。ちょうど福島第一原発の事故で「なぜ避難しなくてはならなくなったのか」と信じられないままに避難した私にそっくりだ。
 主人公や私が持ったこの疑問こそ原発の過酷事故を考える場合に必要なものだ。自然界に大災害をもたらす疫病神や冷酷なテロリストが、どうやったら原発の過酷事故や東京大停電を起こせるのかということを徹底して考えることが、過酷事故を起こさない原発を作る際のコツではないか。福島第一原発の事故以前の関係者は、過酷事故は当該原発の供用期間中は過酷事故は起こらないという見通しの下で過酷事故対応を考え、どこどこのポンプが停止したらどのようなバックアップがあるといういわば火消し型の発想だった。電力会社の行っていた事故訓練の筋書きでは、理由もなしに事故が発生し訓練時間が終わりに近づくと、これまた理由なしに事態が収束した。
 これからは事故をどのように起こすことが出来るかという火付け型の発想が求められる。そのうえで、火付けされないようにするにはどうすればよいかを考え、それらに拡大防止を付け加えればよい。福島第一原発の事故でシミュレーションすれば、まず、地震による送電線トラブルで全外部電源喪失、次に大津波により地下の電源室が水没で内部電源も喪失、実戦的な訓練をされていない運転員などによる判断ミス、ベントの失敗、これで福島第一原発に過酷事故が起きる。
 原発の設計や運転に精通した人であれば、過酷事故を人為的に起こそうとすればどこをどうしたらよいかわかるはずだ。また、自然災害の発生に乗じて過酷事故を起こそうとすれば、より簡単なはず。むろん、こうした情報はテロリストに渡ってはならない。過酷事故が起きそうになったら、あるいは起きてしまったらどうすればよいかを検討し、準備をしなければいけないのは当然であるが、どうすれば起こすことが出来るかをまず検討しておくことも重要だ。

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