日本エネルギー会議

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必要な再評価(1)

 東芝が買収したウェスチングハウスの「のれん代」評価漏れに続いてアメリカの原発建設のトラブルに関わって大変なことになっている。今になって巨額損失を計上することになり、債務超過回避のために虎の子の半導体部門まで売ろうとしている。今期切り抜けても、さらにアメリカでのシェールガス取引で来期以降最大1兆円の損失を被る可能性があるという。まさか商社のようなことまでしているとは思いもよらなかった。
 東芝ほどではないが、日立もアメリカの原発事業で700億円の損失を計上し、旅客機納期の遅れで苦しい三菱重工がアレバ救済のために出資をせざるを得なくなったという記事も見ると、原発メーカー各社とも事業の現状に対する掛け値のない評価を迫られていることがわかる。
 東芝は原発に関して建設から手を引いて機器の製造供給のみ続けるとしているが、これとて期待していた受注が見込めるとは思えない。メーカーの系列会社、下請けに組み込まれた企業も同じような評価替えを行う必要がある。
 事業の現状を正しく評価しておく必要性は原発メーカーなどに限った話ではない。福島第一原発の事故以降の各電力会社はさまざまな問題を抱えているが、それらが正しく評価されて表に出ているとは思われない。電力会社はかねてから原発の運営に絡んでさまざまな形で外部に巨額の投資を行っている。
 一番気になるのは日本原燃に対する出資と使用済燃料の再処理費用の先払いをしていることだ。現在、日本原燃は新基準のからみもあって再処理工場の完成を先送りしている。もしも再処理事業が失敗すれば、投資額などの損失を処理出来て債務超過にならないで済む電力会社はどこにもない。
 各社は廃炉する計画の原発を抱えているが、現在積んでいる引当金で廃炉費用が足りるところはなさそうだ。ウラン鉱石の先行手配の結果もこれからのウラン価格次第では大きな影響を受ける可能性がある。
 メーカーと組んで途上国の原発開発に乗り出していた電力会社はその事業性をあらためて問われる状況だ。電源開発を除いては、電力会社が火力発電であっても原発であっても海外の事業で成功した話は聞いたことがない。経産省の「原子力立国計画」に代表される日の丸原発輸出政策そのものが画餅であったのかもしれない。
 電力会社が一番の稼ぎ頭と期待している国内の原発にしても、再稼働出来ないままに6年間も維持しているわけで、それらの維持管理費は火力の停止中維持費の数倍と高く、原発の発電コストの過半を占めるほどだ。新基準をクリアーするための設備投資とともに、今かかっている維持管理費も再稼働後の発電で回収出来るかは不明である。これまでよほどのことがない限り、電力会社内で「聖域」として手をつけてこなかった原発関連の投資や事業の再評価をこの際、きちんとすべきではないか。
 電力会社の株価を見ると、安倍政権の原発推進に期待して再稼働が近いと投資家が買いに入って株価を吊り上げたものの、今年に入ってから再稼働がまだ先だと見て安倍政権発足時まで値を下げており、さらに下がりそうだ。ちなみにフランス最大の電力会社であるEDFの株価はこの2年間で半分になっている。電力会社の株価の続落は、投資家が電力会社の事業評価について疑いを持ち始めている証なのかもしれない。

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