日本エネルギー会議

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使用済燃料への課税

 佐賀新聞によれば、今月に入って開催された佐賀県議会原子力安全対策等特別委員会で、参考人の資源エネルギー庁の政策統括調整官が、自民党議員の「使用済燃料をどうするかということについて、交付金制度の見直しによる自治体の支援拡充をどう考えているか」という質問に対し、「乾式貯蔵施設を導入した場合、プールの貯蔵に比べて単価を倍にするという交付制度に現在修正をし、昨年度から導入している。事業者がそういった計画を進め、乾式貯蔵施設ができた場合は自治体にもメリットが大きくなる」と答えた。
 原子力規制委員会の田中委員長は、使用済燃料はなるべく早くプールから出して専用の貯蔵施設に保管することが安全上望ましいとしており、国としては乾式貯蔵施設建設に向けて電力会社が自治体の同意を取り付けやすくしようとして単価の倍増をしたようだ。乾式貯蔵施設の方が安全ならば逆に単価は半分で良さそうだが、乾式貯蔵施設がどうしても必要なためにそうしたのだろう。
 ただ、この委員会で同じく参考人の九州電力は「核燃料の使用後、貯蔵プールから乾式貯蔵用の特殊な容器に入れるまでに、15~20年の冷却期間が必要だ」と述べている。
 結局、青森県の再処理工場の操業が開始されないこと、使用済燃料の受け入れ能力がそのうち限界を迎えることなどから、国は使用済燃料を原発構内に造る乾式貯蔵施設に数十年間仮置き出来るようにして、その間に打開策を見つけようとしているようだ。これはプール内の使用済み燃料の置き方を稠密化して同じ面積により多くの燃料が置けるようにするリラッキングと同様、従来の先送り政策を拡大したものでしかない。核燃料サイクルが破綻しないようにするためには問題先送りの手段を選ばないというのが国のやり方だ。
 最近、再生可能エネルギーの発電促進賦課金が大きくなったことが問題にされているが、買取価格が年々下がっており、また期限も最大20年であることから将来は次第に消費者が支払う賦課金負担は軽減される見込みがある。
 これに対して、原発の使用済燃料に対する課税分は電力料金に加算され、今後保管する使用済み燃料が増えれば、際限な金額が膨らみそうだ。億単位の税収が電源三法交付金のように経年で目減りすることなく入ってくることは自治体にとって大きな魅力だ。自治体は「国や電力会社に使用済燃料を早く搬出する気にさせたい。そのための課税だ」と言っているようだが、本音では搬出先はまず見つからないと思っているのではないか。この課税方式は従来の例からすれば、すぐに各立地自治体に飛び火する。
 使用済燃料が乾式貯蔵施設から再処理工場、さらにその残渣である固体廃棄物になり最終処分場に搬出されても、行く先々で課税されつづけられる可能性がある。自治体は使用済燃料だけでなく、廃炉に伴い出てくる放射線レベルの比較的高い解体廃棄物も課税の対象にしようとするだろう。どこかでこれらを課税対象から外すようなルールを作らないと、とんでもない負担を将来の電力消費者に押し付けることになる。
 その場合も、国は「もともと電力の消費者が支払うべきものだった」という評判の悪い理屈を述べるのだろうか。国は原発を生き延びさせようといろいろな手を打ってくるが、その結果は原発の発電コストを上昇させてしまい、結局、電源としての価値を毀損してしまいそうだ。 

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