日本エネルギー会議

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不都合なことの処理

 柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働に向けた審査が大詰めになった中で、重大事故時の対応拠点である免震重要棟について平成26年に耐震不足を示すデータが東京電力の社内にあったにも関わらず公表してこなかったことがわかり、原子力規制委員会の田中委員長から「不都合な事が説明されず、最低限の信頼性に疑義がある」と指摘された。このことで新潟県知事をはじめ地元自治体も反発。いったん近づいた再稼働は再び遠のいてしまった。
 広瀬社長は新潟県をお詫び行脚しているが、県やメディアから「悪しき体質」と呼ばれた社内の空気を変えていくことは、業界のリーダーであり続け世界最大の電力会社と自負していた会社であるがゆえに、非常に困難であることを再認識したのではないか。それは事故後も記者会見や住民説明においても批判されてきたことであり、情報開示や仕事の進め方で東京電力社員の習性ともなっていることである。
 「言わなくてもそれは嘘をついたことにはならない」「相手が気づかないことを言う必要はない」「触れられたくないことに質問が及ばないように注意しながら話す」「親切にすることはない。どうせ悪くしか受け取られない」「仕事が増えるようなことはするな」「解決策のないときは引き延ばし」という暗黙の指示が職場に蔓延し文化にまでなっている。
 「これってまずいよね」と仲間内で話していても、上司がいるところでは言い出せない。「お前責任とれるのか」と言われるに決まっているのだ。個人には悪意がないことが却って始末がわるい。こうして情報開示のタイミングを失い秘密は雪だるまのように大きくなり、組織としてもいまさら言い出せなくなる。事故や不祥事を起した後は、普段より注視され些細なことも大きく伝えられるのでさらに萎縮してしまうという面もある。
 情報開示に問題がありスキャンダルとなると、その後は「何でも気づいたことを上げてこい」とトップが下知することが多い。すると現場の生の情報が組織の各段階で処理されずに上がってくるか、ずっと下のレベルの仲間内(多層構造の請負体制の最下段の場合もある)で収めてリスクを取って言わないでおくか両極端になりがちだ。本来、トップは風通しの良さを確保したうえで各段階での事の重要性とタイミングについての判断能力を向上することやガイドラインを示すことなどが重要だが、それを怠る場合が多い。

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