日本エネルギー会議

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再評価による損失確定

 東芝の経営危機のニュースに眉をひそめていたら、先週は日立が開発事業の再評価で損が確定とのニュースが入ってきた。一瞬「日立よ、お前もか」と思ったが、そうでもないと思い直した。
 日立は3月24日、今年3月期の連結決算で米国のウラン濃縮技術開発事業に関し、減損損失約650億円を計上すると発表。
 原子力発電所の建設が世界的に停滞したことで想定したほどの収益が見込めないと判断したようだ。濃縮技術事業はアメリカのGE社との合弁会社で、日立の持ち分法適用会社、GE日立ニュークリア・エナジーが手がけてきた。従来からこの事業の損失額の確定を進めてきており、約650億円も現時点での概算値。最終的には3月期の連結決算で確定する。合わせてウラン濃縮技術事業からは撤退するようだ。
 日立のように本当に困窮する前にしっかり損を確定しておくべきで、東芝の二の舞を踏んではいけない。経理上のテクニックを駆使して財務諸表はいろいろ隠してしまうことが可能であるが、それを最後まで隠し通すことはほとんど出来ない。東芝の例はギャンブルで負けがこむと、一発逆転に望みをかけて深みにはまるようなものだ。
 長年付き合ってきた監査法人は客である企業と癒着しやすいし、監査法人自身も過去の監査結果にこだわりを見せるものだ。
 逆にいろいろ知恵を授けることも考えられる。東芝に対して主力銀行は今後も支え続けるようだが、彼らもいままで貸付審査がいかにも甘かったということだろう。あまりにも巨額の不良債権になるので恐怖で降りられなくなっているようにも思える。
 これまで原発は国策民営、所有は地域独占企業の電力会社ということで、メーカーなどの取引先や金融機関からは絶大な信用を獲得していたが、今や電力自由化となり総括原価方式という安定土台を外されてしまった。そこに福島第一原発の事故である。
 メーカーは廃炉などの新たな仕事が発生して受注に繋がると思ったのかもしれないが、業界全体としては下請けや関連企業も含めて明らかに停滞、後退の時期に入った。新しく出来た原子力規制委員会の委員長は「審査に当たっては電力会社の経営状態など忖度しない」と公言している。
 福島第一原発の事故後、政府と業界と金融界が直ちに事業の再評価と損失の確定を試みなかったのは、これまで原発事業を浮沈戦艦に見立てて、護送船団を組んできたからにほかならない。何重にも守られ、ぬくぬくと育ってきた子供は一枚の服を脱ぐのも寒がったのだ。反原発の風潮にも負けずに、国のエネルギー安全保障のために頑張ってきたとの自負が大きすぎたのかもしれない。

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