日本エネルギー会議

  • 設立趣旨
  • お問合せ

廃炉ビジネスの行く末

 今月、原子力規制委員会が日本原電敦賀一号機など合計5基の原発の廃炉を認可した。原産協会の高橋理事長も「日本は大量廃炉の時代に入った」と表明。原発メーカーは国内で新規建設がない中、廃炉をメインのビジネスとして捉えようとしている。
 いずれの廃炉も建設やメンテナンスに携わったメーカーやゼネコンが工事を請け負う可能性が高く、今後毎年1~2基程度廃炉決定が見込まれ、一度受注してしまえば30から40年も仕事が続くので確実な収入源となりそうだ。福島第一原発のような事故炉は技術的な困難もあるが、安全に停止した軽水炉であれば、コスト削減要求はあるものの大規模改造工事などの経験で十分対応が可能だ。
 アレバなど海外のメーカーとの連携も計画されており、原発の廃炉をビジネスとして海外展開出来る可能性もある。これまでの建設やメンテナンスと同様、国の規制の下に電力会社の原子力部門とメーカー、ゼネコン、系列下請けといった枠組みで他と競争することなく出来る美味いビジネスでもある。 
 だが、スタートしたからといってこの廃炉ビジネスをどこまでも順調にやっていけるかはわからない。それは解体した原子炉や周辺の機器、建屋のコンクリートや鉄筋などの処分をどのようにするかが決まらなければそれ以上は進まないからだ。国際的に見て過剰に放射線レベルの裾切りが低く決められていることも心配だ。
 特に原子炉そのものや高汚染している部材はどこに処分するのかが決まらなければ、解体することを立地自治体が認めないはず。商業炉の廃炉で先頭を走っている日本原電の東海原発では、すでに工事がこれ以上進められなくなっている。
 今回の原子力規制委員会の認可は処分先のことまでは含まれていない。過去の規制当局は原発の建設や運転開始に当たって、使用済み燃料の処理処分先や廃炉後の解体放射性廃棄物の行き先までは事業者に具体的計画を求めずに認可してきた。
 それで電力会社は地元了解さえとれば、思う存分に原発開発を進めることが出来、問題の先送りを許したことになった。処分場問題の解決策を持ってこなければ建設や運転を認めなかったなら、国や電力会社は処分場探しにそれなりの努力をし、原発開発の姿は大きく変わったものとなったであろう。
 今回、廃炉計画の認可に当たって、規制当局は再び処分場問題の先送りを暗に認めようとしている。しかし、建設や運転の認可の場合とちがって今回、処分場問題は何年も立たないうちに現実問題として浮上し、廃炉工事をその時点でストップせざるを得なくなる。
 今度こそ先送りが出来ないのだ。最悪の場合、解体したものを野積にしておくことになるが、地元がそれを許さないだろう。今回、原子力規制委員会は電力会社に対して、少なくともいつの時点までに処分場問題に目処をつけるという条件を付して廃炉計画の認可をすべきではなかったのか。 

  • データベース室
  • エネルギーとは?
  • 世界と日本のエネルギー
  • 原子力の論点
  • 放射線と健康
Facebook Twitter