日本エネルギー会議

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廃炉に関する広報

 以前も紹介したとおり、東京電力は福島第一原発の廃炉の進捗状況を印刷物で地元住民に広報している。当初は、社内資料をコピペしたようなもので専門用語はそのまま、文章も東京電力社員や町役場職員も首をひねるような難解、未熟なものであった。先日、4月5日発行の印刷物が富岡町の広報誌などの入った封筒に一緒に入って避難先住所に送られてきたが、さすがに最近のものは図面や写真も吟味され文章もわかりやすくなっている。 
 A41枚カラー版の表面には、「1号機原子炉格納容器内部調査結果」が、裏面には「一般作業服での作業可能エリアが拡大」「1号機タービン建屋滞留水の除去」「陸側遮水壁の凍結状況」のトピックが紹介されている。いずれもテレビ、新聞で報道されたものだが、こうして詳しく説明があれば、住民の理解に一段と資するものと評価したい。
 ロボットが測定した格納容器内グレーチング上の放射線量が測定した5地点の地下階床面から下への距離まで含めて表にしてある。その地点がどこだということもわかりやすく鳥瞰図の中に示されている。さらに最高値が12シーベルト/時であるが、滞留水、コンクリート、鉄などの遮蔽によって遮蔽されるので周囲には影響は少ないことなど丁寧に書かれている。これは新聞やテレビよりわかりやすいと思った。
 気になったのは、取り上げていることが、どちらかと言えば良いことづくめであり、当初計画からの逸脱、遅れ、予想外など課題について書いていないことだ。廃炉工事は経験のない難工事であり、予想外の問題や不測の事態も数多くあるはず。
 トップタイトルが進捗状況ということであれば、経営計画のようにPDCA(ブラン、ドゥー、チェック、アクション)で書かれ廃炉の全体が見渡せるようになっている必要がある。さらに溜まった汚染水の管理や排気筒の倒壊防止など過去に大きな課題として指摘されたことなども忘れずに触れられていることが望ましい。
 住民はメディアの情報でロボットがしばしば動かなくなったこと、廃炉の費用が当初より大幅に増えていることなどを知っている。計画とのズレや新たにわかった問題点、一番の課題などを書かないとなると、かつての東京電力の広報が住民に心配をかけないようにという配慮をしすぎてそれが裏目に出たことを忘れてしまったのではないかと心配になる。見た目は良く、説明がわかりやすくなっても、内容が形骸化するようでは、せっかくの広報活動が空回りになるから、住民に何を伝えるべきかもう一度原点に立ち戻って見直してほしい。

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