日本エネルギー会議

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ロシアンルーレット

 今年、福島県では避難区域の解除が相次いだが、残念ながら自宅は帰還困難区域にあり、少なくとも今後5年間は解除の予定がない。原発事故発生による避難から11年経過しても帰還は叶いそうもないのが現実だ。現在、自宅への一時立ち入りは年間30回認められている。一回の立ち入りは午前9時から午後4時までに制限されており宿泊は出来ない。もっとも電気も点かず水も出ないから帰宅しても出来ることは限られている。
 帰還困難区域への立ち入りには、その都度コールセンターへの予約が必要で、ゲートの警備員に許可証を示して車で立ち入る。帰りは再びゲートから出て中継基地に立ち寄って、線量の確認、靴底、車のタイヤ、荷物の汚染検査を受けなくてはならない。今まで汚染検査でひっかかったことはなく、最近の立ち入り時の被曝線量は1時間あたり1マイクロシーベルト程度でまったく問題は感じない。野生動物が増えているようだが、自宅周辺ではキジが繁殖し、また夜間に猪が走り回っているらしい形跡があるだけで、姿は見かけない。
 それより遥かに危険を感じるのが、往復に使う常磐自動車道の走行だ。いわきジャンクションで磐越道に分岐して会津や中通りの郡山市に繋がっているが、そこは避難者が多いところだ。富岡インターからは区域解除された川内村や田村市に向かう国道が繋がっていて、その方からの利用者もいる。相馬インターからは福島市に向かう国道があり、浜通りにとって6号国道とともに常磐自動車道は最も重要な道路だ。最近では除染した際に出る汚染土を運ぶダンプカーの通り道ともなっている。 
 高速道路とは言うものの、いわき市から仙台方面に太平洋岸を北上する区間は、片側一車線、中央分離帯はなくセンターライン上にプラスチック製のポールが立っているだけ。トンネルやアップダウンもあり、高架橋の部分では特に幅が狭くなる。サービスエリアはなく、パーキングエリアも少ない。開通したばかりの道路で初めての利用者が多いのも特徴だ。いくつかの追い越し可能部分が設けられているが、その区間は短く、後続車が110キロを超す猛スピードを出して区間ぎりぎりで追い越していく。
 常磐自動車道はしばしば事故により通行止めがある。テレビを見ていると、常磐自動車道の通行止めや解除の表示が出るのは、ほとんど毎週のように衝突事故が起きているからだ。速度制限は70キロであるが普通の車は90キロくらいで走行している。ダンプなどがゆっくり走るとたちまち長い列が出来る。避難先からいわき市までも一時間以上運転してきて疲れがたまっているなかで、相当に緊張してハンドルを握っていないと左の側壁やセンターラインのポールに接触しそうになる。
 こちらがいくら慎重に運転していても、対向車がこちら側の車線に飛び出してくれば正面衝突を避けることはまず出来ない。相手が飛び出してこないよう祈る気持ちで運転することになる。その危険はまるでロシアンルーレットのようで、一時帰宅を終え戻ってくると、今回も無事だったと胸を撫で下ろすというのも決してオーバーではない。事故がこれほど起きているのに特別な対策は取られているようには思われない。帰還しようとして毎月のように自宅の維持管理をしている高齢者には厳しすぎる状況だ。

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