日本エネルギー会議

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あえて小さな単位に統一

 この前の日曜日、富岡町への一時立ち入りに同行された大学生から帰還困難区域滞在時の被ばく線量について質問を受けた。退域時の個人線量計の表示は5マイクロシーベルト、1時間あたり1マイクロシーベルトだった。
 定期検診の胸部X線検査、海外旅行の際の飛行機に乗ることでの被ばく、北欧などもともと自然放射線の強い地域の話などが話題となったが、この時の会話ですっきりと理解をしてもらうために有効だと思えるヒントを得た。
 放射線の話をする場合、さまざまな例はその線量の大きさによって適宜、シーベルト、ミリシーベルト、マイクロシーベルトなどを使って表示され、表現をする人の感覚でどの単位を使うかを決めている。人体に及ぼす放射線の影響を説明するイラストではミリシーベルトで表現されていることが多い。
 資料によって違うものを見せられるので、一般の人は混乱する。「まず、ミリは1000分の1、マイクロはミリの1000分の1であることをしっかり頭にいれてもらう必要がある」などと書かれている資料もあるくらいだ。
 それを頭に入れるより、最初からマイクロシーベルトで統一したほうがわかりやすい。何故なら、実際に立ち入りなどして被ばくした場合、個人線量計にマイクロシーベルトで表示されるからだ。ご本人はその被ばくがどの程度のものだかを知りたがっている。だから話題に上った事例をマイクロシーベルトで統一して話すと次のようになる。
・今回の立ち入りは5時間で5マイクロシーベルト。1時間あたりは1マイクロシーベルトとなる。一日24時間その場に居続ければ24マイクロシーベルト。1年間で約9000マイクロシーベルトとなる。
・飛行機でニューヨーク往復すると約100マイクロシーベルト、健康診断で胸のX線撮影をすると同じく約100マイクロシーベルトの被ばく。
・スェーデン、フィンランドでは年間に6000から8000マイクロシーベルトの自然放射線があり大勢の人が暮らしている。日本では平均の自然放射線量は年間2000マイクロシーベルトだ。

 これらは厳密ではないが、おおよその見当としては十分使えるだろう
 一時立ち入りを終えて避難先に帰ると富岡町からの郵便物が来ていた。その中に「知っておきたい放射線の話 ~富岡町での生活~」と題する40ページの冊子が入っていた。裏表紙には「長崎大学監修」とある。
 さっそく中を読んでみると避難区域を解除された富岡町の住民が帰還してから放射線に関する疑問や不安を軽減するための内容となっている。放射線の単位については、入り乱れているのは従来と同じ。千分の1、百万分の1という表現もある。あるページの記述には1ミリシーベルト(1000マイクロシーベルト)と二重に記されているものもあり、統一はされていない。
 専門家はそれぞれの分野に応じた放射線の大きさを考えてミリ、マイクロなどの表現を使い分けているがそれは専門家自身が普段使っているやり方であり、体験していただいた一般の人には実際にご自身の使った個人線量計表示されたマイクロシーベルトですべて統一して表現するのが一番わかりやすい。
 よく報道で小さい単位を使って「基準の何万倍」という表現をして読者が驚く効果をねらってやっているのではと疑われる場合もあるが、一般の人に体験に基づいて放射線の人体に対する影響を正しく理解していただくには、あえて小さな単位で統一した方がわかりやすい。

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