日本エネルギー会議

  • 設立趣旨
  • お問合せ

内視鏡による手術

 東京電力は福島第一原発2号機の原子炉内部調査を、先端にカメラの付いたパイプで行うことを明らかにした。今年2月に核燃料がメルトダウンした格納容器内部を調査するためロボットを投入したが、1時間ほどで前に進めなくなり、ケーブルを切断してロボットの回収を断念。調査はあまり成果を挙げることが出来なかった。
 東京電力は原子力規制委員会との会合で、ロボットを使った調査を断念し今年度中にも「ガイドパイプ」と呼ばれる先端にカメラの付いたパイプを内部に入れて状況を調べると表明した。パイプはロボットを投入する前の事前調査で使用していたものだ。
 世間にはあまり知られていないが、福島県は白河市に約60の医療機器の製造業が立地している日本有数の医療機器生産地だ。なかでもオリンパスは白河工場と会津工場で消化器向け内視鏡を生産しており、その世界シェアは70パーセントと世界一なのだ。
 私事で恐縮だが、以前飛行機搭乗中に胆石が動いて激痛に襲われたこともあって、昨年須賀川市の公立病院で胆嚢の摘出手術をした。手術といっても内視鏡によるもので、私自身の経験として初めてとなる入院治療はわずか3日。腹部に小さな穴の跡が残ったが今ではその痕跡もわからない。内視鏡といっても胃の中などを見るだけでなく、問題のある部分を切除したりそれを掴んで体外に取り出したりといったことまで小さな穴を通じて出来る。ポリープの切除などはほとんどこれで行われている。
 東京電力の発表を聞いて、いままで何故ロボットに固執したのかと不思議な気がした。そのロボットも完全に独立して動けるものではなく、後ろにケーブルがついているので、それであるとロボットで行う意味はどこにあるのかと考えてしまう。内視鏡は先端にライトやカメラがついており、消化器内部の探査と同じように原子炉内部でも確実な探査が出来るはずだ。ロボットが投入出来るほどの穴が開けられているのなら内視鏡を入れるのには十分で、高度なロボットよりはるかに安定した作業が出来るはずだ。
 日本初の商業炉である東海発電所が当初、熱交換器の細管の振動が止まらず、悩んだ末に自転車のチェーンを巻きつけてピタリと止めた技術者がいた。これなども単純なやり方の方がうまくいった例だ。大型の内視鏡を使って密閉された機器の中に入って検査や作業が出来るようになれば、製品開発の点でも新たな分野が開けそうだ。福島県の得意とする技術を是非とも活かして原子炉の内部調査や作業をしてもらいたい。

  • データベース室
  • エネルギーとは?
  • 世界と日本のエネルギー
  • 原子力の論点
  • 放射線と健康
Facebook Twitter