日本エネルギー会議

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温暖化を甘く見てはいけない

 まだまだ先のことと考えていると、突然現実になって困惑することがある。これから地球温暖化による気候の変化で発電所などのインフラが被害を受けて、地域全体が長期間電力不足に陥ることが十分に考えられる。いくつかの実例を紹介しよう。  
 温暖化で海水温が上昇すると沿岸部の発電所の効率が低下し停止にいたる。アメリカのミルストーン原発は2012年に立地する湾内の海水温度が安全基準の23.8℃を超え23.9℃となったため冷却が不十分になり停止した。同じ冷却方式を取っている火力発電所でも同様のことが起こりうる。
 海水面が上昇すると原発が水浸しになる恐れがあり、そうなれば廃止せざるを得ない。米国では現在、約100基の原発が稼働しているが、米政府の推計によれば、CОP21の合意目標である世界の気温上昇が産業革命以前から2℃未満に抑制されたとしても、国内の13の原発が海面上昇で水没リスクにさらされる。
 また、気温が4℃まで上昇する事態になると、さらに12の原発サイトが影響を被るリスクがあり、現在稼働中の米原発の4分の1は潜在的な「温暖化リスク」を抱えている。
 火力発電所も同じように水没する。防潮堤を築くにしても高く堅固な防潮堤はいったん海水が入った際にはそれを掻い出す必要があり、巨大なポンプと電源を準備しなくてはならない。
 あらかじめ発電所を高い所に建設すると、今度は海水をポンプで取水するのに所内消費電力が大きくなり消費地に送り出す電力が減ってしまう。(福島第一原発ではこのことから元は海抜30メートルあった地盤を海抜10メートルまで掘削して所内消費電力が少なくするように設計したため津波が構内に侵入してしまった)海水を冷却につかう原発や火力発電所の立地構造が、将来の海面上昇、気候変動激化による建屋への浸水リスクに耐えられないのだ。
 原発と火力発電所を失うことは電源の過半を失うことになるので、海水温や海水面の上昇を見極め対応が遅れないように代替電源を確保していく必要がある。温暖化の影響は50年から100年かけて起きるのだといっても、今ある規模の電源を確保するとなるとあまり時間がない。
 温暖化の影響は着実に増大し、防潮堤のかさ上げなどの対処療法をしても撤退時期を遅らせる効果しかなく無駄な投資となる可能性が高い。そうなれば、現在成長著しい再生可能エネルギーで代替しようとなるところだが、太陽光発電や風力発電は強風などの異常気象によって破壊されるリスクが原発や火力発電所と比べてより高いと考えなくてはならないので、それらによる代替はなかなか難しそうだ。

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