日本エネルギー会議

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これからの帰還困難区域

 富岡町や浪江町ではこの春、居住制限区域が解除され、まだ1パーセントと少数ではあるが住民の帰還の動きも見られる。町は商業施設や医療施設の整備に取り組み、少しでも住民の帰還を促そうと躍起になっている。これに対して町の帰還困難区域はいまだにバリケードに囲まれ、野生動物が闊歩する無人地帯であり、復興から取り残された感が強い。水道も出ない。
 夏草は生い茂り、除染で出た廃棄物の置き場も満杯状態でかつてのように袋を運び込むダンプが走り回ったり、クレーンがアームを振り回したりしている様子も見かけることは少なくなった。大音量の防災無線の呼びかけが繰り返されるが、それが終わると再び静まり返る。電気もきていないので夜間は真っ暗のはずだ。
 国は富岡町からの強い要望で、観光名所である「さくら通り」から50メートルの範囲と、居住制限区域と帰還困難区域の境界から20メートルの範囲の除染を今年度からスタートしただけで、帰還困難区域の95パーセントは今後5年間は除染計画がない。
 町が聞いている国の方針では「帰還困難区域は線量が高く、住民が帰還する見込みがない」ので除染はしないという。帰還希望を持っている住民からすれば「ニワトリとタマゴ」のような話で、「除染しないから帰還しないのだ」と言い返したくなる。
 町は観光の目玉である「さくら通り」や居住制限区域で農業を再開しようとする住民の意向を受けて、国から一部の帰還困難区域の除染を勝ち取ったが、今後は国へ帰還困難区域全域の除染促進要望を出すとしている。
 これに対して県の方は住民に直接接していないためか「帰還困難区域の除染は国の仕事であり、我々のテレトリーではない」と熱意はまったく感じられない。
 国が帰還困難区域の除染をしようとしないのは、除染費用がこれ以上膨らむことを警戒するとともに、多額の賠償を得て避難先などに新居を構えた帰還困難区域の住民は除染しても戻ってこないと見ていること、自然減衰によって除染をしなくても帰還困難区域の放射線量は年々下がりつづけていること、帰還困難区域は事実上の放射性廃棄物の中間貯蔵施設化していることによるものと思われる。

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