日本エネルギー会議

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誰が町長を選ぶのか

 今年8月に富岡町の町長選挙がある。福島第一原発の事故が起きてから二度目の町長選。前回は現職と新人の一騎打ちで、わずか43票差で新人の宮本氏が勝利したが、今回も再選を狙う現職の宮本氏と新人の山本氏(元町会議員で町の商工会長)の一騎打ちとなる見込みだ。
 4月に避難指示解除(帰還困難区域を除く)をした富岡町だが、町の復興はこれからだ。今年に入って災害復興住宅、大型スーパーなど商業施設、研究施設、大型医療施設が次々とオープンしているが、住民の帰還率は実質1パーセントにとどまっている。
 スーパーは買い物客で賑わっているが、ほとんどが先に解除された周辺の町村の帰還住民と工事関係者だ。現職の町長はハコモノについてこの4年間の実績をアッピールしたいところだが、アンケート調査結果では今後の住民の帰還は厳しい状況。いかにして住民を戻し、新たな住民を呼び込むか手腕が問われている。
 町の人口が15000人に対して有権者は11000人だが、このほとんどが現在町を離れて県内外に避難中という状況での選挙だ。4年前も同じ数字だが、この時は本当に全員が避難だった。しかし今回は大半の人が避難先に新たな住居を確保しており、住民票上だけ富岡町民である可能性が高い。厳密に言えば11000人のうち、100人程が本当に富岡町に住んでいる有権者だ。
 今回も前回と同様、候補者はいわき市、郡山市、会津若松市、東京都など有権者が多く居る場所を回って選挙運動をせざるを得ない。下表は富岡町住民の現在の県内外の避難状況である。
 ちなみに、2013年7月に行われた前回の町長選挙では有権者は11631人、投票率は68パーセントだった。また、今年3月に行われた富岡町議会議員選挙では有権者は11309人、投票率は44.19パーセントだった。避難が長引くとともに有権者数は減らないが投票率は低下する傾向がみられ、今回どの程度の投票率になるか注目したい。
 有権者の三分の一が帰還困難区域の住民で、当面5年間は戻れる状況にないが、ほぼ全員が住民票を移しておらず投票権がある。逆に住民票を避難先などに移した住民は富岡町に不動産などを所有しており、区域が解除された暁には帰還しようとしていても投票権はない。いずれにしても、居住していない幻の住民による町長選挙という異常な事態が続いている。

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