日本エネルギー会議

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小型炉開発の大きな壁

 原発の開発は当初からさまざまな課題を抱えながら、それでも全世界に500基を超えるところまできた。最近は欧米に代わって主役となった中国が国内に多数の建設をしながら途上国への輸出も行っている。
 原発の課題は主に安全性、経済性であるが、福島第一原発の事故の反省から規制基準の見直しがあり、これがコストに跳ね返って経済性がより一層課題となっている。おりしもシェールガスの開発、再生可能エネルギーのコスト低下があり、アメリカをはじめ各国で原発の競争力が試される事態となっている。
 これに対応するために、いままで大型化による経済性の追求をしていた原子力産業は一転、小型炉の開発に向かっている。これは技術革新が早く競争の激しい中、巨額の長期投資をためらっていた電力会社にも受け入れやすく、なおかつ送電網の出来ていない僻地や島嶼、あるいは水上などの小中規模の需要を満たすための電源として市場拡大にも繋がるとメーカーも力を入れている。
 小型炉を開発している国はアメリカ、ロシア、中国など。用途も大型炉の補完にとどまらず発電だけでなく暖房用の熱を供給するもの、船に積めるもの、メンテナンスフリーのものなど、さまざまな形が考えられている。また、他の電源とのコスト競争についても同型のものを大量に建設することによるコストダウンも見込んでいる。
 コストが小型炉の最大の課題との論評もあるが、私の見るところ最大の難題はテロ対策である。電源は重要な社会インフラでありテロの標的となりやすい。送電線もテロ対策が難しいが原発の方が大きな反響があるので一層狙われやすい。大型炉であれば、その出力に見合った規模のハード・ソフトの防護対策が取れるが、小型炉の場合は出力が小さいのでそれだけの稼ぎがない。テロ対策の設備や警備の陣容はそれなりに小さくならざるを得ない。
 例え小型であっても万一爆弾をしかけられたり、ミサイルで攻撃されたりすれば原子炉が暴走しなくても、放射性物質が周囲に撒き散らされる恐怖感がある。また、数多く分散されて建設されるとますます警備や万一の場合の対応が難しい。原発は放射能という危険性がつきまとう。例え小型化したからといってもそこから逃れられない運命にある。このことは電源競争において極めて大きなハンデである。

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