日本エネルギー会議

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原発はスーパー台風に耐えられるか

  スーパー台風とは米軍が台風の強さの分類に利用している「Super Typhoon」の直訳で、日本の基準では最大風速60メートル以上の台風に相当する。(本日、九州に上陸し関東まで日本列島を横断した台風3号は最大風速35メートル)。
 2013年にフィリピンを襲った「ハイエン」と名付けられたスーパー台風(風速87メートル、最大瞬間風速105メートル)が有名だ。
 気象庁気象研究所などの研究グループが8年前に発表した報告によると、2074年~2087年には日本の南の西太平洋で海面水温が2℃程度高くなり、スーパー台風が複数回発生する恐れがあるという。最大のものは中心気圧が866ヘクトパスカル、地上の最大風速は80メートルに達する。台風に伴う竜巻、豪雨や高潮の被害も甚大ものになる。
 今から60年後の話であるが、それは突然起きるわけではなく、年々規模がその水準に近づくということだ。
 日本の原発のいくつかは台風の通り道にあり、九州や四国の原発それに浜岡原発は直撃の恐れがある。最近では台風が北海道や東北に上陸するなど進路にも変化が出ている。スーパー台風に襲われるとマンションや高層ビルの窓は砕け落ち、小石や看板など町中のあらゆるものが凶器となって人々を襲う可能性がある。
 気圧が1ヘクトパスカル下がると海面が1センチ上昇する。台風による「吸い上げ効果」と呼ばれるもので、さらに台風の東側では南風が強く、海水を陸地に運ぶ吹き寄せ効果で高潮発生の原因となる。大潮などが重なればさらに高潮の発生率が高まる。「ハイエン」の場合100ヘクトパスカルの低下があったので約1メートルの海面上昇があったことになる。
 都会で大停電が発生する、強風で送電線が切断される、あるいは豪雨で法面が崩壊して送電鉄塔が倒れることにより原発からの電気は送電出来なくなり、運転中の原発は緊急停止せざるを得ない。
 そうなれば冷却は内部の電源と移動式電源で対応することになっているが、猛烈な雨風の中で救援スタッフが道路封鎖で原発に近づけない。資材も持ち込めない、移動式の外部電源が猛烈な風雨にさらされるなか、発電所構内のパトロールさえ出来ない可能性がある。孤立した原発は相当な期間、内部電源で冷却を続けなくてはならなくなる。
 日本の原発は新基準によって自然災害対策、テロ対策などが強化されたが、果たしてスーパー台風に耐えられるのだろうか。スーパー台風に襲われた原発は過酷事故対応能力が大幅に低下することが確実だ。スーパー台風が原発に近づく予報が出た際にはどうするかをいまから検討すべきだが、今のところ国も電力会社もあまりの脅威を前に思考停止のようだ。

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