日本エネルギー会議

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斬新な政策

 フランス政府が2040年にガソリン車、ディーゼル車の販売禁止し、EV (電気自動車)の普及を促進するという斬新な政策を打ち出した。2022年までには石炭火力発電所を停止することも併せて発表されており、「パリ協定」を離脱する方針のトランプ大統領に対する牽制のようでもあり、マクロン大統領はなかなかやるなという印象だ。
 EV普及促進は欧州各国、中国、インドでも見られる。現状では各国のEVのシェアは1~2パーセント(ノルウェーだけは約25パーセント)で、道のりは遠いようだが、「年限を切って禁止」という政策は自動車メーカーのEV開発に強い刺激を与えそうだ。
 ブルームバーグ系の調査会社は2040年に世界の新車販売におけるEV比率が5割を超えるとの見通しを発表している。また、2040年までに世界の自動車保有台数の3分の1を電気自動車が占めるようになるとしており、それによりサウジアラビアの現時点の輸出量を上回る日量約800万バレルの石油需要が世界から失われるという。
 日本のエネルギー事情からしても画期的なことが起きようとしている。太平洋戦争の引き金になり、戦後は国際収支のネックとなった輸入資源問題が根本から改善する可能性がある。一方で主要産業である自動車産業や石油産業がこれにうまく対応していけなければ日本経済に及ぼすダメージは計り知れない。 
 航続距離400キロを超えるEVが300万円程度で売り出されれば消費者は雪崩をうって買い換えに走る。電気なら300円程度で満タンになるからだ。最近、街中では充電スタンドがあちこちに見られるようになってきた。そのうち街で排ガスを出して走るのは大型トラックなど一部の車だけになるだろう。
 車両価格の一番大きな部分を占める蓄電池は大きく値下がりし、欧米の自動車メーカーは今年から来年にかけてEVの量産に踏み切るため、来年はEV元年になると見られおそらく2040年にはガソリン車を禁止する必要もないだろう。日産は今まででEV量産車「リーフ」で世界をリードしていたが、トヨタはハイブリッドと水素自動車にこだわり完全に出遅れている。
 エコカーであるEVだけになれば日本としても地球温暖化対策の突破口となるだけでなく、ガソリン車ディーゼル車と比較してエネルギー効率が数倍良くなり輸入するエネルギー資源がその分減らせる。電力需要減少の歯止めになるかもしれないが、電源は多様化されており日本のエネルギー安全保障にとってはプラスしかない。日本政府もフランスの政策に直ちに追随するべきだ。政府が日本の自動車産業を守ろうとするあまり、手をこまねいていれば自動車産業そのものを失うことになる。

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