日本エネルギー会議

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本格的避難所

 気候変動が原因と見られる集中豪雨による被害が世界各地で起きている。日本でも先日、福岡県、大分県で大きな洪水被害をもたらした。昨年からは気象のニュースに「今までに経験したことのない」「過去50年間に記録になかった」などの表現が使われ、自治体も過去の反省から避難指示を出し遅れないように神経をとがらせている。
 私にとって避難といえば、6年前に福島第一原発の事故で避難した経験が蘇ってくる。避難の第一段階は近くの公民館や学校の体育館などに着の身着のままに集まって、冷たく硬い床にせいぜいダンボールを敷いて毛布をかぶることから始まる。
 そこでは冷暖房は効かず食事や水が不足、トイレが不自由になり、これからどうなるかも含めて誰もが情報を必要としたが、携帯電話の電池が切れ、通信施設の被災で電波も届かなくなった。避難に使ったマイカーのガソリンの残量も気になってくる。
 東日本大震災が巨大地震であったため、1ヶ月ほどは震度5クラスの余震が真夜中でも襲ってくるので、この体育館は大丈夫かと不安が募った。テレビで集中豪雨の被災地の様子を見ると、避難所の様子は東日本大震災の時とあまり変わらない状況のようだ。
 今年のように豪雨などによって避難しなくてはならない事例がこれだけ多くなってくると、避難所のあり方を抜本的に見直す必要がある。まず公民館や学校など既設の公的施設を緊急の避難所に使うという発想を180度変える必要がある。想定される被害に対して適切な立地、適切な数、適当な強度、適切な設備や備蓄を考えての「本格的な避難所」を確保する必要がある。
 避難する人の中には高齢者や子供も大勢いるので、冷暖房をする必要があるが、万一停電をしたり、燃料切れになったりすれば避難所としての機能を果たせなくなる。避難所はエネルギーに関してしばらくは外部に依存しなくてもよいようにすることだ。避難には車が必要となるが、自治体の車も含め、避難時にガソリン切れは致命的なので、ガソリン車だけでなく電気自動車もあったほうがよい。  
 設備的には大地震に備えて免震構造になっていることが望ましい。原発に近い場所の過酷事故用の避難所はフィルターを付けて外の放射能が入らないように空調設備を備えておく。そうすれば、北朝鮮の核ミサイル攻撃対策にもなる。
 その他に、自治体は衛星を使った携帯電話の契約、ヘリポートの整備なども行っておく必要がある。福島第一原発の事故以来、ダンボールを使った簡易ベッド、間仕切りカーテンなどさまざまな製品が出来ているが、果たして全国の自治体の避難所にどれほど出回っているものか。
 広域的な災害には地震、津波、高潮、洪水、山崩れ、強風、化学薬品、放射能などがあるが、地域によって最も可能性がある災害に見合った備えをする必要がある。また、近隣自治体、県、国との連携をどうするか協議をしておくべきだ。
 国は各自治体の避難所について最低限達成するべきもの、あれば好ましいものに分けて評価基準を策定し、学校の耐震性のように達成率を公表するべきだ。 

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