日本エネルギー会議

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水道料金問題

 先月、「30年後に水道料金が6割アップする」との日本政策投資銀行の試算が伝えられ全国的に大きな反響があった。値上げの理由は人口減少と設備の老朽化の対応で、各地の水道事業の収支が悪化していることによるものだ。さらに節水型の家電や食器洗い機の普及で水道使用量が減少している。
 水道料金は水の供給にかかった総コストを給水人口で割って算出するが、需要が 減るのに設備更新の投資が膨らむ構造になっている。
 格差も広がっており、全国で最も安い山梨県富士河口湖町は月平均835円、北海道夕張市では68,411円。北海道など人口密度が少ないところや過疎化が進んでいるところほど大きな値上げになっている。福島県内でも既に会津若松市などが料金を値上げしているが、これから深刻な問題になりそうなのが、福島第一原発の事故で全町避難をして最近解除された双葉郡の水道料金だ。
 福島第一原発の周辺の町村は浪江町を除いた町村が「双葉地方水道企業団」をつくって水道事業を行っている。水源は木戸川ダムの放流水と富岡川の伏流水。事故後、水道は全面的にストップしていたが、現在は帰還困難区域と津波被害が大きかった地区を除く全域で水道が復旧している。
 放射性物質のモニタリングは毎日採水場である浄水場で行われているが、セシウム134、セシウム137いずれも不検出の報告がされている。ヨウ素131は暫定規制値があったが半減期が短く検出報告がないため規制対象から外されている。
 水道料金は4人家族で月に約4000円。下水のあるところはそれに同額の下水料金が加算され、上下水道併せて約8000円。これは避難する以前と同じで、富岡町の我が家でも上下水道併せて毎月10000円程度だった。双葉郡の各町村は電源三法交付金などを使って水道はもちろん、田舎にしては下水の普及が進んでいる。
 現在、帰還した住民はどの町村も1割から2割で、今年4月1日に大半が解除となった富岡町は1万4千人の住民のうち6月末でまだ193人しか帰還していない。単純に考えれば双葉地方の水道料金は10倍の毎月40,000円(上下水道で80,000円)になってしまうが、現時点では元通りの料金水準で供給されている。これは過去に水道企業団が得ていた収入分を東京電力が賠償として支払っているからだ。賠償が打ち切られれば、たちまち日本一高い水道料金になり、住民は暮らしていけなくなる。
 水道事業に限らず、これから同じような公共サービスの料金問題が双葉郡の町村に起き、これが住民の帰還意欲を削ぐとともに原発周辺の市町村合併の引き金になると考えられる。

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