日本エネルギー会議

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処分場なしで廃炉認可する不思議

 今年の春、原子力規制委員会は敦賀原発1号機など4原発5基の廃炉計画を認可した。メディアは廃炉によって出る2万数千トンの放射性廃棄物の処分先が決まっていないことに「重い課題を残したまま廃炉がスタートする」と一斉に報じた。
 何故、原子力規制委員会は処分場のあてのない廃炉計画を認可したのだろう。処分場の見通しが立たないままに工事をスタートさせてもどこかでストップしなくてはならない。
 地方のメディアも「放射性廃棄物が敷地内で保管されたり埋設されたりすれば、原発立地が半永久的に負担させられる可能性もある」と国や電力会社が再び課題を先送りすることを懸念し、そのことを詳しく報じている。
 処分場のあてのないままに廃炉計画を認可したことについて、原子力規制委員会の事務局に電話で問い合わせると「処分場は経済産業省の方で検討しています」との返答があった。国はヤマタノオロチのようなもので、それぞれが分担して問題に取り組んでいるのだ。
 だから処分場がなくても原子力規制委員会は廃炉計画を認可出来るのだということが分かり、いまさらながらに驚いた。「処分場探しは経済産業省の仕事」と割り切れる役人が羨ましい。なにせこちらは身ひとつ、頭もひとつ、廃炉工事と処分場を別のものとして理解することなど出来ないのだ。
 原子力規制委員会が電力会社に対して「経済産業省から処分場の認可を取ってこい。廃炉計画の審査はそれからだ」と言えないのかと思うが、役所同士の関係はどうもそうではないようだ。
 少なくとも、電力会社に対して処分先についていつまでにどこまで出来ていなければ、その時点で廃止工事の認可は白紙となるという条件を示さなければ、経済産業省も電力も処分場問題に真剣に取り組まない怖れがある。
 現に九州電力は地元紙の取材に対して、放射性廃棄物の行き場に関し「現時点では敷地外の廃棄事業者に引き渡す」とし、「処分場が決まるまでは、玄海の敷地内で適切に保管することになる」と説明している。
 福島第一原発の事故後に再出発した原子力委員会は先ごろ発表した「原子力利用に関する基本的考え方」の中で、「廃止措置及び放射性廃棄物の対応を着実に進めるとし、原子力発電所及び研究開発機関や大学の研究炉等において、その廃止を決定したものについては、計画性をもって放射性廃棄物の処理・処分と一体的に廃止措置を確実に進める」としている。
 ヤマタノオロチは許さない、先送り体質は改めると言っているではないか。
 子供の頃、学校から帰って友達と遊びに行こうとすると親に「宿題をやってからにしなさい」と言われたものだ。原子力規制委員会は甘すぎないか。これでは従来の経済産業省と原子力安全・保安院体制と体質はなんら変わっていない。
 こんなことでは、原子力に対する国民の信頼を取り戻すことは出来ない。原子力委員会にもこのあたりをどう思っているかを聞かねばならないようだ。

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