日本エネルギー会議

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まさかの離陸困難

 地球温暖化に伴う気温上昇の影響で、飛行機の離陸が困難になるというNASAなどの研究結果が発表された。気温が高くなると空気が膨張して密度が小さくなり揚力が得にくくなるためという。
 暑さで鉄道の線路がグニャリと曲がったという話は聞いたことがあるが、まさか暑さで飛行機が離陸出来ないとはにわかに信じられない。
 研究によれば、今世紀後半、日中で最も気温が高い時間帯に離陸する航空機のうち1~3割が、0.5~4%の積載量削減を迫られるとしている。
 影響は滑走路が短い、標高が高い、気温が高くなりやすいといった条件の空港で出やすく、既にアリゾナ州フェニックスの空港では今年6月、暑さに伴う揚力不足が懸念され、2日間で50以上の航空機の離着陸を取りやめる事態が起きている。
 何かにつけ「ファースト」を叫ぶ大統領のいる国で、温暖化による飛行への実害が「最初」に起きたのは皮肉だ。
 子供の頃、地球をりんごの大きさとすると、大気はその赤い皮の厚さの半分と教えられ、随分と薄いところに人間や生物が棲んでいるのだと思ったが、今回、温暖化によるわずかな気温の上昇でも大きな影響が出ることが分かり、あらためて生命の存在や人類の活動は環境という微妙なバランスの上に成り立っていることを認識させられた。
 飛行機の翼が揚力不足となれば、風力発電の出力にも影響が出そうだ。太陽光発電は気温が高すぎるとソーラーパネルの出力が落ちることはよく知られている。メガソーラーは北日本が有利だ。水力発電も気温上昇によって河川流出量が変わり発電量に影響が出る。
 火力発電や原子力発電はタービンを回したあとの蒸気を海水で冷却しているので、海水温度によって発電効率に影響が出る。ガスタービン発電機は、圧縮空気の中に燃料を噴射し燃焼させ、発生したガスを用いて発電するため、外気温が高くなると、タービンに吸入する空気密度が低くなり、燃料の投入量が制限され、出力が低下する。
 一機では僅かでも全体としてはかなりの出力低下となるはず。建屋内の空調設備にも影響が考えられる。
 温暖化は海面付近の気温上昇によってスーパー台風や集中豪雨を発生させる。原発、火発、再生可能エネルギーなどの電源は出力影響以外に安全面でも問題は起きないかしっかり把握しておく必要がある。
 テレビの気象予報では熱中症予防として水分補給と適当なエアコンの使用を勧めている。気温の上昇はエアコン使用による電力不足を招く。
 飛行機が飛ばず、全国各地で異常気象が常態化し、電気が足りないとなれば、ここに至ってようやく世論は二酸化炭素排出量の多い石炭火力発電所に厳しい目を向け始めるだろう。

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