日本エネルギー会議

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原子力規制委員会は何者か

 先月、原子力規制委員会(以下規制委)は東京電力の新しい経営者との意見交換を行ったが、その中で、規制委は下記の「基本的考え方」を東京電力側に示した。

1.福島第一原子力発電所の廃炉を主体的に取り組み、やりきる覚悟と実績を示すことができない事業者に、柏崎刈羽原子力発電所の運転をする資格は無い。
2.福島第一原子力発電所の廃炉に多額を要する中で、柏崎刈羽原子力発電所に対する事業者責任を全うできる見込みが無いと、柏崎刈羽原子力発電所の運転を再開することはできない。
3.原子力事業については、経済性よりも安全性追求を優先しなくてはならない。
不確実・未確定な段階でもリスクに対する取り組みを実施しなくてはならない。
4.規制基準の遵守は最低限の要求でしか無く、事業者自らが原子力施設のさら
なる安全性向上に取り組まなくてはならない。
5.原子力事業に関する責任の所在の変更を意味する体制変更を予定するのであれば変更後の体制のもとで柏崎刈羽原子力発電所について再申請するべき。
6.社内の関係部門の異なる意見や知見が、一元的に把握され、原子力施設の安全性向上に的確に反映されなければならない。

 1,2は柏崎刈羽原発の再稼働最優先で福島第一原発の廃炉が疎かにならないように規制委は釘を刺したのだろう。4はかねてからの規制委の考え方の確認。5と6は、大組織であることによる風通しの悪さに対する懸念であり、福島第一原発の事故後にもしばしば社長の陳謝が繰り返された事を思ってのことだろう。
 3については、後段は国も電力会社も共通の福島第一原発の事故の反省点を確認したものだが、前段はかなり問題を含んだ考え方だ。
 「原子力事業については、経済性よりも安全性追求を優先しなくてはならない」は資本主義の下で民間企業である電力会社に言える言葉であろうか。
 百歩譲っても「過酷事故など起こせば住民に被害が及び、会社が潰れ、国の政策や業界の計画に大きな打撃となる。そのようなリスクを常に忘れないようにすることが大切」くらいではないか。
 安全性と経済性がトレードオフの関係であるかのような言い方にも疑問がある。原発の現場の下請の監督はその両立を目指してどのようなバランスで行くかを日々悩んでいるのだ。発電所長も本社の経営陣も基本的には同じだ。
 電力会社は営利企業であり利益を出して社員に給料を払い、株主に配当しなくてはならない。資本主義の元締めであるアメリカではこのことはもっと強調されている。民間の経済活動はリスクを負いながらも利益追及することで、利益が出なければ経済活動は継続出来ない。
 経済性より安全性優先というなら、それは税金でやるしかない。原子力規制委員会の基本的考え方は「原発は営利企業にはやらせない」と言うことと同じだ。そうするかどうかは国としての問題であり、原子力規制委員会にはそれを決められる権限と責任はない。逆に電力不足で国家存亡の危機となれば、規制委が何と云おうとも国としては原発稼働させるはずだ。
 「原子力事業については、経済性よりも安全性追求を優先しなくてはならない」と言い切る原子力規制委員会とは何者なのだろうか。

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