日本エネルギー会議

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破綻回避(2)

 日本における原子力開発は当初から国と電力会社による破綻回避の歴史でもあった。福島第一原発の事故を経た今も破綻回避は続いている。今回は、原子力開発当初からどのような破綻回避が行われてきたかを見ることにする。
 まず、欧米からの商業用原発技術の移転を目的として全国の電力会社と重電各社が協力して日本原子力発電(以下原電)を設立し、我が国初の商業炉である東海発電所をイギリスから導入、続いて初期の軽水炉をアメリカから導入して敦賀発電所を建設した。
 東京電力や関西電力はその完成を待たずに福島原発と美浜原発の建設を始めたため、原電は存在理由を失う危機に陥った。しかし、原電は解散させず、パイオニアとしての性格を持たせることで存続させて戦略の破綻を回避した。東海原発は完成に手間取り建設費が計画を大幅に上回ったが、東京電力は通常の発電単価より高く電力を買取り原電の破綻を回避した。
 原電は事故や軽水炉の初期故障などで累積赤字を続けたが、主たる株主である電力会社が債務の裏保証をするなど経営を破綻させなかった。
 その後も原電を存続させるために、経済産業省や電気事業連合会は高速増殖炉の商業炉建設の主体、カザフスタンでのウラン資源開発やベトナムに対する原発の売り込みなどの役割を与えるなどして支えてきた。
 福島第一原発の事故後もすべての原発が停止して、特に原子力専業の原電は収入の道を絶たれたが、受電各社が基本料金を支払い続けることで原電の破綻を回避した。ただ、原電の子会社がデータ改ざん事件を起こした際は、その子会社は救済することなく破綻させている。
 国は商業炉建設に伴い原発製造の国産化を図るため、当初から国内の原子炉メーカーを日立、東芝、三菱の3グループに絞り、富士電機を東海のガス炉のみの例外扱いにして、住友グループにはついに軽水炉原子力グループとしての参入を認めなかった。
 これは過当競争になり国産の原子炉メーカーが共倒れになり破綻することを恐れたかである。それは現在まで続いており、今般の東芝の経営危機に際しても、原発技術温存を目的の一つとして東芝救済に乗り出している。
 原子炉メーカーの系列企業を含めた産業は、人材を確保育成するために常に安定した受注と自社の研究開発による技術力の向上が必要であり、電力会社は電力共同研究を通してあるいは直接的な発注で巨額の原発の技術研究開発費を毎年支出し、メーカー側の人材や技術力が破綻しないようにしていた。
 また、大学の原子力関連の研究室に対しても国立大学を中心に研究委託を続けて、人材確保の面での破綻を回避しようとしていた。          (つづく)

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