日本エネルギー会議

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破綻回避(3)

 日本における原子力開発は当初から国と電力会社による破綻回避の歴史でもあった。福島第一原発の事故を経た今も破綻回避は続いている。前回に続きどのような破綻回避が行われてきたかを見ることにする。
 原発開発が進むにつれて、新たな立地を見つけることが困難であることから電力会社が立地難を回避する目的で国は原発立地に関する電源三法交付金を火力発電の場合と比較して格段に増額し、毎年のように内容の見直しを行い、運用を地元自治体の要望に沿って変更してきた。明らかに原発開発計画が行き詰まることを回避するために行われたことだ。
 電力会社も立地難を回避するために既設のサイトへの増設と1機当たりの大出力化を図って原子力開発長期計画が破綻を来さないようにしてきた。30万キロワット級、50万キロワット級、80万キロワット級と次第に大型化し、1970年代末頃には東京電力と関西電力が、1987年には中部電力が、1994年には九州電力でも110万キロワット級の大型原発を建設している。
 もんじゅのナトリウム漏れ、動燃東海再処理工場の爆発火災、JCО臨界事故が起きたが、その都度原子力開発計画に影響しないように原因などについてできる限り原発と切り離す対応が取られた。
 特に東京電力のトラブル隠し、隠蔽工作、データ改ざんなど一連の不祥事は大きな影響を与えると見られたが、相談役、会長など首脳陣が一斉に退陣することで(肩書きはなくしたがその後も権限は保たれた)、実際の体制や計画が破綻しなかった。
 一番大きな破綻回避が見られるのが核燃料サイクルで、当初、使用済み燃料の再処理は国内で出来なかったため、使用済み燃料をキャスクに入れイギリスやフランスに海上輸送して海外再処理をして破綻を回避してきた。
 日本原燃が六ヶ所村に建設している再処理工場の完成が遅れ、また、もんじゅがいっこうに運転を出来ずにプルトニウムの消費が出来なくなったため、プルトニウムが国内外に貯まり始めた。
 そこで諸外国から疑念を持たれるプルトニウム貯蔵量を減らし、核燃料サイクル政策の破綻を回避するために、それまで関心の薄かったプルサーマルが突然浮上して各電力会社がその採用を次々に表明した。それまで電力会社が拒否し続けてきた電源開発の原発建設を、フルMOX原発であることを条件に認め、これが大間原発になった。これも余剰プルトニウムで核燃料サイクル計画が行き詰まらないためだ。
 また、各原発の燃料プールの収納能力を高めるリラッキングと呼ばれる改造も行われ、使用済み燃料が溢れるのを回避した。
 それだけでは使用済み燃料処理が出来ず、核燃料サイクル計画が破綻するので、各社は中間貯蔵施設を建設して使用済み燃料が溢れて発電がストップする事態を回避することにし、日本原電が東海原発構内に東電が福島第一原発構内に空冷式の中間貯蔵施設をそれぞれ建設したが、それでも貯蔵しきれない可能性があったため、青森県のむつ市に両社が共同出資して大規模な使用済み燃料貯蔵施設を完成させた。
 六ヶ所村の日本原燃の再処理工場の貯蔵プールも満杯に近い。海外再処理で返還された高レベルの放射性廃棄物の固化体も50年後には県外に搬出するという約束をして、とりあえずの保管場所としたがこれも破綻回避だ。
 関係者は破綻回避の仕事に忙殺されるようになり、本来やるべき原発の安全性の向上などに手が回らなくなるのである。         (つづく)

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