日本エネルギー会議

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原子力委員会の「基本的考え方」(1)

 ひと月ほど前、新しい原子力委員会が今後の原子力政策について長期的な方向性を示唆する羅針盤となる「原子力利用に関する基本的考え方」を発表した。今回、国の「エネルギー基本計画」の3年ぶりの見直しが始まり電源における原発の位置づけが焦点になっていることから、原子力委員会の考え方を今一度確認しようと読みなおしてみた。

 原子力委員会はこの「基本的考え方」を、関係組織からの中立性を確保しつつ府省庁を越えた原子力政策の方針を示す羅針盤だとしているが、新しい原子力委員会をつくる前に有識者会議が行われ、そこで議論された内容が今回の「基本的考え方」の多くの部分と重複していることがわかる。
 原子力委員会が「基本的考え方」を示すにあたって、委員会の生みの親である2年前の有識者会議の意見を全面的に取り入れたようにも見える。
「原子力委員会の在り方見直しについて」平成25年12月10日 原子力委員会の在り方見直しの有識者会議(PDF形式:444KB)

 「基本的考え方」は19ページにわたって、さまざまなことに触れており、読みやすいとは言えないが、かいつまんで表せば、「原子力は、これからも国として開発を推進して行く必要がある。福島第一原発の事故を起こした原子力関係者の体質には十分気をつけて外国も見習いながら外部の意見にも謙虚に耳を傾け、経済性なども考えてやっていくべき」ということだ。
 気になるのは、国の原子力関係の省庁や民間事業者に対してはさかんに指摘、指示をしているが、かつての原子力委員会自身のやってきたことについての反省について書かれていないことだ。
 原子力安全・保安院、東京電力、日本原子力研究開発機構は組織や考え方に大いに問題があったことは確かだが、大本営であった原子力委員会こそ最大の問題があったのではなかったのか。
 「基本的考え方」には、「福島第一原子力発電所の事故後、原子力を取り巻く環境の大きな変化を踏まえ、平成24年には、原子力委員会の在り方について抜本的な見直しが行われた。新たな原子力委員会では、原子力行政の民主的な運営を図るとの原点に立ち戻ってその運営を行ってきた」とさらっと触れている。
 見直す理由を「原子力を取り巻く環境の大きな変化を踏まえ」と書いているが、いかにも他人事である。
 原子力委員会には抜本的な見直しが必要なぐらいの問題があったのであり、原子力行政が民主的に運営されていなかったということではないのか。原子力委員会について、有識者会議に任せにせず新旧の委員自らが問題発掘、反省、改善を行うべきだ。(アンダーラインは筆者)
 次回は「基本的考え方」に書かれている内容についての疑問点をいくつか挙げたいと考えている。                    (つづく)

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