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復興計画をめぐる町の判断

 福島県では避難指示が出た3区域のうち解除準備区域と居住制限区域が今年4月までに解除され住民の帰還が可能となったが、帰還困難区域は現在も住民が許可なく立ち入れないままだ。原発事故から6年半も経過するが、文字通り「帰還が困難」な状況にある。
 復興庁は地元からの要望や与党からの提言を踏まえ、今年5月に帰還困難区域の復興・再生に関する今後の方針を「福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律」として定めた。
 帰還困難区域については、当該町村長が帰還困難区域の一部を復興拠点として指定し、その復興計画を作成、県知事と協議の上、国に認定を申請、大臣が認定すれば国の予算が使えることになった。
 エッセイ「双葉町の復興拠点構想」でも書いたように、双葉町ではいち早くJR常磐線双葉駅周辺を特別に指定し国に申請した。これが認められれば、5年後にはその部分の区域指定解除がされて住民が帰還出来る見通しだ。
 私の自宅のある富岡町でも、申請のために帰還困難区域の住民を集めてこの計画について町の執行部との意見交換会が先日開催された。こうした集まりは年々参加人数が減っているが、今回郡山市での集会では20人程度しか集まらず、住民たちの関心が急速に低下している感じがした。
 町の執行部の悩みは帰還困難区域のどこを復興拠点に指定するかであり、指定されなかった区域は少なくとも今後5年間は解除されないことが確定する。そうなれば、賠償など同じ条件であった帰還困難区域の住民の間に差がついてしまい、復興拠点とならなかった区域の住民から不満が出る可能性が高い。
 そのため町の執行部は帰還困難区域全域を特別復興区域とし全面解除したい意向だが、法律では「一部を」となっているため国はそれを認めないだろう。
 復興拠点となる区域が帰還困難区域の中で孤立しないよう、すでに解除された区域に隣接していることも必要となろう。さらに今回の措置が国の予算で行われるため、財務省から除染などの費用対効果を求められる可能性もあり、いままで以上に説得力のある計画づくりが求められる。
 来年度の予算措置のためには年内には申請を国に出さなければならないが、それには町が10月頃までに住民の意見を聞いて原案を作成する必要がある。
 富岡町では今年4月に解除した区域の住民の帰還率は半年経っても1割にも満たず、廃炉や除染のために外部から流入してくる人の方が目立つ状況で、町としても帰還困難区域の復興拠点申請にだけ掛かり切りになる訳にいかないのが辛いところだ。

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