日本エネルギー会議

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処分場問題の難しさ(5)

 前回、福島県だけ説明会除外は問題ありと指摘したが、そもそも科学的特性マップだけで問題解決の突破口としようとするやり方が正しくない。
 各地でマップの説明会をしたあと、国が自治体に調査を申し入れ、調査の結果が良ければ処分場決定という流れを示しているが、いくつの自治体に調査申し入れをするか決めているわけでもない。
 もし、ひとつの自治体に絞って国が申し入れをした場合、断られれば次の候補自治体に順番に申し入れをするつもりなのか。他が断ったものを受け入れる自治体が出るとは思われない。下手をすれば、地元住民を深刻な分断にし、周囲の自治体との関係も壊す恐れのある話に自治体の首長や議会、そして住民が耐えられるのか。
 これは原発立地で何回も経験したことだ。また、同時に複数の自治体に申し入れをすることで、反対派の勢力を分散することになるにしても、以前の自治体が自主的に手をあげるやり方とほとんど変わらない。
 鹿児島県のように知事がいち早く反対表明をしたところには申し入れをしないとなれば、そのことを他の知事にはどのような説明をするつもりなのか。このあたりを明らかにせずに説明会だけやっても次にはつながらない。
 何故ガラス固化体の処分方法として地層処分を優先的にやるのか。他に選択肢がないのか、地層処分以外の方法についての研究はやめてしまうのかなどの説明も国民は求めるはずだ。地層処分ありきは誰がいつ決めたのか。海外の先行事例が地層処分だから日本も地層処分なのか。
 そのことについて国民が理解しているとは思われない。調査だけで20年かけるとしているが、その間に高レベル放射性廃棄物処分技術は進歩しないのだろうか。実現しそうもないことを計画に組み込むのもいけないが、これからの技術的進歩をまったく想定しないのも適切ではない。
 地下300メートルではなく、地下3000メートルも研究していることが報じられているが、その結果いかんで今の科学的マップは変わるのかも知りたいところだ。
 石油、石炭、鉄鉱石など有用な地下資源のあるところは除外するとしているが、今後どのようなものが有用な地下資源になるかまだわからない。安全になるのは10万年後と言っているわりには近視眼的だ。調査は約20年かけて行われ、問題がなければ最終処分地が決まるとなっているが、その時点で存在する断層が見つかっていない可能性もある。
 地方の人口減少高齢化によって過疎化する自治体が国からの調査申し入れを受けてくれることを期待しているようだが、そのような地域では自治体の合併が進んでおり、今後も増えていく傾向にある。
 その場合、合併した相手が受け入れる意思がないことも考えられる。また都道府県から道州制になった場合はどうなのか。せっかく決めても合併先の反対に潰されたり、また合併話が処分場調査の申し入れによって破談することも考えられる。
 
このシリーズは次回でひとまず終了。次回は批判ではなく、処分場決定をするためのあるべき道筋について意見を述べるつもりだ。
   (つづく)

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