日本エネルギー会議

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乱開発からソーラーシェアリングへ

 事故を起こした福島第一原発から10キロメートルにある福島県富岡町では避難区域が解除された今、メガソーラー事業が盛んに行われている。特に常磐高速道路の富岡インターチェンジの周辺にメガソーラーが数多く建設されており、すでにいくつかが発電を開始している。
 福島県では事故後、「原子力に依存しない、安全・安心で持続的に発展可能な社会づくり」を掲げ、2040年には県内の電力需要を100%再生可能エネルギーで供給することを目標としたが、その中核になるのは太陽光発電で、2018年にはその出力は最大時には原発1基分となる予定だ。
 富岡町には帰還して農業を続ける人もいるが、事故から6年経過し避難が解除されても土地の所有者が戻らず耕作放棄地となっている田畑が多いため、太陽光発電のために農地を転用しやすい。富岡町の場合は、市街地復興先行ゾーン、産業集積ゾーン、農地の再生・活用ゾーンなどいくつかのゾーンに分けて復興を計画的に進めようとしているが、このうち農地の再生・活用ゾーンは格好のメガソーラー設置場所となっており、既に3ヶ所、合計70メガワットのメガソーラーが農業に適した地域で動いている。
 面積は120ヘクタールで富岡町の田畑の面積の1割に達していて、町当局もメガソーラー開発の速さに戸惑いを見せている。一方、農業は除染が終了したとはいえ風評被害が続いており、高齢化と後継者不足、人手不足など厳しい条件の下での農業再開を強いられてなかなか進まない現状がある。  
 そこで2013年に農林水産省が認めるようになったソーラーシェアリング(営農型太陽光発電事業)を導入することが考えられる。ソーラーシェアリングとは、農地で植物の生育にとって必要な太陽光の日射量を保ちながら、安定した収入源として太陽光発電を運用することだ。具体的には写真のように、陽の光が入るように間隔をあけてソーラーパネルを地上から高い位置に設置することにより、農業と太陽光発電を両立しようとするもので、農家は農業収入に加えて売電により安定した経営が期待出来る。

 富岡町のある浜通り地域は東北といっても沿岸部であり雪も少なく日照もよい。農業にもソーラー発電にも適している。もともと富岡町の農地で生産され国道6号線沿いの直売所で大量に売られていたブロッコリー、キャベツ、トマト、キュウリ、長ネギ、ホウレンソウ、ナス、大根、さつまいも、じゃがいもなどはソーラーパネルの下でも十分に栽培可能だ。5000人以上いる福島第一原発の廃炉の作業員の宿舎や構内食堂で消費出来る。
 全国各地の里山で見られるようなメガソーラーの乱開発にならぬよう、福島第一原発の事故の影響を受けた地域の復興再生事業では慎重さとともにひと工夫が求められている。

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