日本エネルギー会議

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電気自動車に力が入らない理由

 街ではガソリン価格が高騰している。OPECの協調減産に加え、サウジアラビア国内の政情不安から原油の安定供給に影響が出ることへの懸念が広がったことが原因だ。相変わらず中東の石油に大きく頼っている日本だが、現在輸入した石油から作った石油製品の40パーセントを自動車で消費していることから考えれば、電気自動車の時代が来ればこの問題は大きく改善されるに違いない。
 何故なら、石油を直接エンジンで消費するガソリン車やディーゼル車はもともと石油の持つエネルギーの9パーセントしか動力として使えず、あとの91パーセントは活かされていない。内燃機関の効率がこれほど低いことは、あまり知られていない。同じ量の石油を火力発電所で電気に換えてこれで電気自動車を走らせると、35パーセントが動力として使われ、無駄になるのは65パーセント。電気自動車の方が4倍も効率がよいのだ。
 自動車が石油を使わなくなれば、日本の石油消費量の40パーセントに当たる年間8000万トン(2015年実績)の石油が不要になる。金額にすれば年間3兆円。二酸化炭素の排出抑制効果は約2億4000万トンになる。
 電気自動車を動かすための電気は火力発電(ほとんどが天然ガス火力と石炭火力で石油火力は1割程度)だけでなく、原発や水力発電など再生可能エネルギーでつくることが出来るのでリスク分散にもなる。東日本大震災で製油所が被害を受け、ガソリンが突然手に入らなくなって動きが取れなくなった経験からすれば、物流を全面的にガソリン、ディーゼル車に依存している社会は極めて脆弱だ。
 電気自動車の開発普及は日本にとって国際収支改善、温暖化対策、石油依存による供給不安の解消、災害時のリスク分散になり、主たる輸出品目である自動車の競争力維持にも絶対に必要であると思うが、日本政府の電気自動車に対する意気込みはガソリン車、ディーゼル車に対し年限を切って販売禁止にしようとしている欧米諸国や中国と比べて不足している。
 何故、政府は消極的なのか。おそらく電気自動車普及の効果には気づいているのだが、電気自動車の開発で遅れを取っているトヨタなど自動車産業界に配慮してのことだろう。再生可能エネルギーの開発も自治体や市民団体ほどに政府は熱心でないが、これも電力業界の意向を忖度しているような気がする。
 トランプ大統領がパリ協定に背を向けて石油やシェールガス業界に良い顔をしたり、アジア歴訪で軍事産業のために盛んに兵器の売り込みをしたりしているが、政権を支える産業に恩を返すことをファーストにしていては国民のため、地球のためにはならない。

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