日本エネルギー会議

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処分場受け入れの大義

 環境省は東京電力福島第1原発事故で発生した放射性物質に汚染された福島県内の指定廃棄物(8000ベクレル~10万ベクレル)を、11月から同町の最終処分場に搬入する意向を表明。最初の搬入は17日から始まり全国ニュースで報道された。今週、環境省から富岡町に戻った世帯および避難している全世帯に「特定廃棄物埋め立て処分施設への輸送について(お知らせ)」の文書が届けられた。
 この処分場には福島県内各市町村に仮保管中の特定廃棄物約16万トンを平成30年度までに最終処分する。富岡町に原発事故以前からあった民間の産廃処分場を国が買収。昨年富岡町と楢葉町(搬入路がある)が受け入れに合意したので、国が両町に合わせて100億円を交付することになった経緯がある。
 10万ベクレルまでの廃棄物とはいえ、放射性廃棄物の最終処分場を受け入れたことの意味は大きい。青森県六ケ所村のガラス固化体保管にせよ、福島第一原発近くの大熊町双葉町にまたがる中間貯蔵施設にせよ、あくまで期限付きの保管であり、国は何十年か後には搬出を約束している。最終処分を受け入れたのは富岡町楢葉町が初めてだ。
 両町の住民説明会では仮置きでなく最終処分だということで反対の声もあったが、決め手となったのは「県内各地に仮保管されている特定廃棄物を撤去しなければ、県民の生活を元に戻せないので、なんとか協力をして欲しい」という大義であった。
 また、大量のよりレベルの高い放射性廃棄物を中間貯蔵とはいえ福島第一原発のお膝元である大熊町双葉町が受け入れていたことも公平感を与えた。双葉郡では昔から下水汚泥処理場、火葬場、焼却場など迷惑施設に関しては各町がそれぞれどれかを分担するという方式を採っていたのである。
 100億円という掴み金は大きすぎて。将来の高レベル放射性廃棄物の最終処分場などの決定にどれほどの影響を与えるかと心配ではあるが、住民がなんとか受け入れを容認したのは「同じ福島県民のため」という大義があったからだと考える。
 国とNUMOが進めている高レベル放射性廃棄物処分場決定においても、各地で始まった原発廃炉で出る1基約2万トンの放射性廃棄物の最終処分場決定においても、巨額な交付金以上に必要なのは住民が外から「彼らは金目当て」と言われないための、大義であることが今回の富岡町の件で明らかになった。
 以前、テレビドキュメントで観た例だが、山間の限界集落の人々がその地を使用済みの水銀電池などの最終処分場に提供する代わりに、集落は終わりにして残った高齢者を町の施設に入れて死ぬまで面倒を見るという条件を出し、周囲の人々も「高齢者たちの今後の幸せのためならばしかたがない」と理解したということだ。それも大義であり、放射性廃棄物の最終処分の場合、それもありかなと思う。

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