日本エネルギー会議

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「原発推進者の無念」の著者が原発事故1周年後の心境を語る その4

最近、避難者が自殺したというニュースが立て続けに二件あった。一時帰宅に関連した自殺だ。一人は南相馬市の山間に住んでいた園芸の好きな主婦で、夫婦で久しぶりに我が家に帰って片付けをしていたら、夫に黙って家の庭で焼身自殺した。もう一人は浪江町でスーパーをやっていた男性でこれまた、夫婦で家にもどっていた時、行方不明になり探したところ近くの倉庫内で首を吊っていたのが発見された。避難先から数ヶ月ぶりに帰ると、まるで竜宮城から戻った浦島太郎のようなもの。近所の住民はいないし、町は静まり返っている。まるで生活感がないのだ。一年以上も閉め切りにしておけば、家はどんどん傷む。地震や津波で壊されてはいないが、人が住んでいなければ家は確実に壊れて住めなくなる。再びここでの生活が始まるということが、現実的でないという気持ちになりがちだ。
主婦はもうこの地を離れたくないと泣いたそうだし、浪江の男性はめちゃめちゃに壊れた店を見て、これからどうすればよいのかと呆然としていたという。すっかり白髪頭になった浦島太郎が、浜でであった人たちはみな知らない人ばかりだったというおとぎ話が、福島の浜通りでは現実となっている。
私自身も先日、一時帰宅して雨戸を開けられない縁側に座って、草の生い茂る庭を見ていたら、荒れ放題でもやっぱり自分の庭はそれなりによく出来ていたと思ったが、一時間もすれば、またここを離れるのかと感傷的になった。中通りという都会に住んでいると、浜通りと違ってデパートや商店がたくさんあって、竜宮城での暮らしのように気が紛れるが、一時帰宅したときの落差は大きなものがある。

2012.6.1
北村 俊郎

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