日本エネルギー会議

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スマホをかざせば

 郡山市の郊外を車で移動していると、遠くに山々が見える。福島県であれば智恵子抄で有名な「あたたら山」や民謡に唄われた「磐梯山」はすぐにそれとわかるが、他の山は名前があるのだろうが、何と言う名前なのかはわからない。後で地図を取り出して特定するのもなかなか難しい。
 夕方、民放テレビのローカル天気予報を見ていたら、天気予報士がスマホで景色を映せば、スマホ画面に山の名前がすべて表示される最近開発されたアプリを紹介していた。徒歩でも車に乗っていてもGPSでその人の位置から方角を基に見える範囲の山の名前がすべて表示されるようになっているスグレモノだ。おそらく街中で歩きながら前方に見えるビルや交差点の名称を表示する事も出来るだろう。
 そこで思うのだが、原発の構内あるいは建家内部を移動しながら前方、上方に見える設備の名称、配管であれば系統名、ついでに放射線量率などを逐一スマホ画面に表示するようなアプリが出来ると便利だ。建家内部であっても地下であっても天井に位置を発信するものを設置すればその電波を受けることが可能だ。
 用途としては、運転員や保修関係者のパトロールや点検用に、また経験の少ない若手が操作対象機器やスイッチを間違えないようにするためにも使える。構内であれば広報用に使うことも考えられる。さらには事故時の対応に来た現場をよく知らない外部からの応援者が所員の案内なしに内部を歩く際に頼りに出来る。
 アプリは一度制作してしまえば誰でも何時でも使えるが、原発の紙に印刷した配置図、系統図、配管図などと同じように、改造工事などで現場の状況に変更が生じたときにはしっかりメンテナンスしておかなければならないのは安全管理上の鉄則だ。また、このアプリをテロリストに使われるとまずいので管理をしっかりしておく必要がある。
 これからの時代、少子化で人口が減少し、ベテランのリタイアが大勢出てくると後継者の確保や技術伝承が困難になる。AIでこれらの課題を乗り切ろうとする業界が多いが、原子力業界はどの程度検討がなされているのだろうか。部門別に考えると事務部門、技術部門は他産業と共通性があり大いに活用出来そうだ。
 竹中工務店がAIによって設計業務を70パーセントも合理化したとのニュースがある。また、海外で風力発電所の羽根の傷の検査にAIを導入して検査にかかる時間を四分の一にした報告がある。
 原発の稼働率を向上させ、発電コストを下げるため、原発の建設、運転、メンテナンス、廃炉までAIを取り入れて大幅な合理化を進める必要がある。ビッグデータの分析もよさそうだ。運転部門や保修部門はロボットによるパトロールや現場操作、現場作業も挑戦する価値がある。運転は従来からの支援システムをさらに飛躍させて運転員の支援をさせることが期待される。
 ただし、現在の電力会社やその原子力部門にそれをやるだけの金と時間と社員の能力が残っているかが問題であり、出来なければ淘汰されるのは他の業界と同じだ。

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