日本エネルギー会議

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大企業と不祥事(1)

 今年は1月に東芝の不正会計問題が明るみになり、いまだに東芝は再建に苦しんでいる。その後も東洋ゴム工業が船舶などに使う産業用ゴム製品のデータの偽装、神戸製鋼所がアルミ製品の性能データを改ざん、ニッサンやスバルが新車の無資格検査。
 本日もメディアが東レの子会社のデータ改ざんを報じている。不正は何年も前から行われてきたもので、今年になってそれが表面化したといったケースが多くなっているので、これからも続々と出てきそうだ。
 いずれも日本を代表する大企業、名門企業であり、いったい何が起きているのかと心配だ。かつては原発関連で電力各社が事故隠し、データ改ざん、偽装など数多くの不祥事が起きて経営陣が辞任に追い込まれたが、福島第一原発の事故以降はほとんど聞かなくなっている。
 逆に素材産業の不祥事で、原発にもデータ改ざんされた製品が収められたのではないかと調査が行われて合格した再稼働に影響が出ている状況だ。
 事例を見ると、要は「つじつま合わせ」であり、本来クリアすべき基準や達成すべき量が出来ないため、あたかも達成出来たかのように誤魔化したのだ。私の現場経験から言うなら、「なんらかの無理」が現場に存在し、それを突破出来ないので仕方なく危険な橋を渡ってしまったのだ。
 「なんらかの無理」とは、無理なコスト削減要求、人手の不足や質の低下、原材料や部品の不良、無理な納期などだ。通常、「なんらかの無理」があれば、現場から悲鳴が上がってくる。経営陣はそれに気づかないことが多い。
 現場が言い出せないような恐怖経営をしているとそうなる。社長が任命した社内監査役では任命者に直言する気概は期待出来ない。社外の監査役では内部に深く立ち入ることは遠慮もあって難しい。
 また、現場を知らない経営陣の場合、本当に気づかないこともある。さらに問題なのは経営陣が外部に好調な業績を示したいため、現場の窮状を見て見ぬふりをしてしまうことだ。こうなると現場は経営陣も黙認と勝手に判断してしまう。経営陣が謝罪記者会見で深々と頭を下げるのも致し方ないことだ。
 さらに大きな心配は日本の大企業の社員の実力があらゆる面で低下しているのでないかということ。子会社や下請企業については推して知るべし。なんとか世界トップレベルだったのは20年前のことであり、その後は年を追うごとにレベルダウンしているように思えるのだ。
 日本では昔からJIS(日本工業規格)という国内規格があったが、ちょうど今から20年前に国際規格であるISO規格の認証を取得しようとする動きが始まった。ISOとは、International Organization for Standardization(国際標準化機構)のことで、この機関が定めているのがISO規格だ。輸出関連の企業では、これがないと欧米への輸出が出来なくなるという切迫感があった。さらに電力会社のような国内産業でも、この認証を取得することは一種のステータスとなっていた。                  
  (つづく)

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