日本エネルギー会議

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「原発推進者の無念」の著者が原発事故1周年後の心境を語る その6

アメリカの電力会社の幹部が、第一に考えているのが、今期の利益を出すことだ。これは原発でも同様で、定期検査が少しでも伸びれば、担当課長は更迭になるが、一日でも縮めればボーナスが出る。まさにアメとムチの典型をやっている。ミスをやって事故を起こしたり、長期間停止したりするようでは論外なのだ。このため、原発の管理職の緊張感はすごいもので、定期検査中に訪問することは嫌がられるし、訪問した場合は職場全体がピリピリしているのが伝わってきた。
NEI(米国原子力協会)は日本で言えば、電気事業連合会と日本原子力産業協会を一緒にしたようなもので、原発を持つ電気事業者、原子炉や原子力機器のメーカー、建設会社、原子燃料会社、保険会社なども参加している強力な原子力推進のための民間団体だ。その理事長や理事の話を聞く機会があったが、理事たちは年間の業績について年一回、評議員に報告しなければならず、その場で厳しいやり取りがあるそうである。いかに理事たちが会員のために努力をし、成果をあげたかについて、根拠を示して説明することを求められる。理事たちは、この日のために一年間一生懸命仕事をしているようなものだと、その大変さを表現していた。
翻って日本の原子力界の様子を考えてみると、原発の運営はゆとりがあり、協会の会議でも、長年、そんな激しいやり取りは見たことも聞いたこともない。アメリカとおなじような組織があり、おなじようなことをやっていたとしても、中身がまったく違うのだということを、実際に訪問してみると感じる。ガチンコ勝負を避けて、空気が悪くならないことを優先させている社会では、会議や活動をやっても、なかなか実質的な成果が上がらないようになっている。原子力安全に関しても、この調子でやってきたのだと思うと、日本で大事故を起こしてしまったのも当たり前のような気がする。

2012.4.12
北村 俊郎

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