日本エネルギー会議

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電力とコメ

 オーストラリアの輸出品と言えば、人口より数が多い羊の毛や牛肉が思い浮かぶが、2016年の輸出額ランキングでは、なんと金(ゴールド)が1兆5300億円で鉄鉱石、石炭に次ぐ3位。金額では羊毛の5倍、牛肉の2倍である。かつて学校で学んだ情報や長いあいだの思い込みの修正をする必要がある。
 我が国でも地方では農業が主要産業あるいは重要な産業だなどと思われているが、全国どこの県でも農林水産業いわゆる一次産業はGDPの1割そこそこだ。テレビなどで地方の農林業や漁業が話の中心になることが多いからそのような印象を持つのかも知れない。地方で行われている再生可能エネルギー開発についても、いままでの常識を覆すような例がある。
 秋田市から男鹿半島にかけての海岸線一帯は防風林が広がり、そのほとんどが県有地だ。秋田県は風力発電の適地として「風の王国」とネーミング。地元の民間企業や金融機関に風力発電所建設計画の公募を実施し、その結果次々と地元資本の風力発電所が出来ている。
 風の王国プロジェクトでは、「地域の企業・組織・個人がプロジェクトの1/2以上を所有している」、「プロジェクトの意思決定は地域に基礎をおく組織によって行われる」、「社会的経済的利益の1/2以上は地域に分配される」の三原則が掲げられている。
 ドイツやデンマークなどヨーロッパでは再生可能エネルギーの開発は地域の人々が共同で事業を行うことが主流となっているが、日本でもそれと同様の動きが出てきている。
 秋田県ではさらなる規模の拡大のため、陸上に続いて沖合に着床式洋上風力発電建設計画がある。一基7000キロワット級の風車を426基、約300万キロワットの規模だ。年間の発電電力量を約97億キロワットアワーと想定。
 約3500億円(約37%の設備利用率とFITによる売電単価を前提)の売電収入になると試算している。秋田県のコメの年間出荷額は約1000億円で、なんとその3.5倍の額だ。秋田県の稼ぐ力はコメより電気ということだ。我々の知識はもう通用しなくなる。
 その昔、京や江戸の周辺はコメと野菜とマキと絹糸麻糸を生産して京や江戸に運び込み、得た金で帰りに都の香りのする品物を持ち帰った。これから人口減少が進み、人口も産業も縮んでいく東北や北陸の各県は、エネルギー自立の出来ない首都圏や関西圏に電気を売ってどんどん稼ぐという方策が残されている。今後、原発存続を考える際に、立地自治体にも株主として参画してもらうことも一案だ。  

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