日本エネルギー会議

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錯覚を誘う内容

 原発事故による避難が始まってから6年半。福島県でも人口減少、高齢化、少子化が現実のものとなってきた。街を歩くと高齢者が目立つ。東京に行けば若い人で溢れているが、福島では学生や若い勤め人の集団は大きな駅周辺の商業施設以外はあまり見かけなくなった。
 福島県の実態は厳しいものだ。11月1日現在の福島県の推計人口は188万人。65歳以上が56万人で30パーセントを超している。これに対して14歳以下の年少人口は高齢者の半分以下の22万人で12パーセントだ。今後ますます高齢化が進むのが間違いない状況となっている。
 にもかかわらず、この深刻さが額面通りに頭の中に入ってこない理由のひとつはメディアや地方自治体からの情報にある。下に示す三菱総研のアンケート調査によれば、復興に関する情報はテレビがダントツ、次に新聞、自治体の広報となっている。その傾向は東京都にくらべて福島県の方が強い。

 テレビ・新聞・週刊誌などのメディアや自治体の広報誌は、昔の人口構成のイメージで番組や記事を流すので、人々は昔の状態が維持されていると錯覚しているようだ。福島県内で流れている映像や記事を見て思うのは、若い人に的が絞られていて、高齢者であっても若々しく活動している事実を美談として伝えるのが定番。
 伝統芸能が若い人に引き継がれている場面は伝えるが、廃れてしまったところは撮影しようがない。都会から若い人が来て伝統工芸に触れているのは記事にするが、そうならないで技能者が亡くなったところは取り上げることはない。
 幼稚園の芋掘りは毎年テレビに登場するが、園児の数が減っていることについては伝えない。お祭りや行事のシーンなどよく画面を見ると同じ子供が登場している。また全体を撮さないで一人一人をアップして、人数の少ないことがわからない。
 双葉郡の避難解除した地域では、戻っているのは高齢者ばかりで、ひっそり家の中に暮らしているのだが、福島復興について送られてくる情報は、歌謡曲「青い山脈」の歌詞「若く明るい歌声に 雪崩は消える花も咲く…」のように、若さや新しさを強調し、復興の成果を賛美するような傾向が目立つ。
 太平洋戦争中にメディアが政府に協力して実態を伝えず、国民の士気高揚の映像や記事を送り続けていたことを思い起こさせる。

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