日本エネルギー会議

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避難者への視線

 最近、「原発自主避難者に立ち退き求め提訴」「県、自主避難4世帯提訴へ」という見出しの記事が新聞に相次いで掲載された。福島第一原発の事故で自主避難した世帯の多くは福島県内や隣県の仮設住宅、雇用促進住宅、民間の賃貸住宅などに居住しているが、今年3月末で住宅の無償提供が終了後も退去しないため、県などが明け渡しを求めて地裁に提訴することになったという内容だ。  
 事故から6年半が経ち、すでに自主避難の世帯の多くは退去するか、有償の賃貸契約に切り替えたが数所帯が応じていない。訴えられた世帯は「好き好んで故郷を出たのではない」「家計が苦しく家賃を払えば生活出来ない」などと主張しているが、県側としては「他の世帯との公平性も考えた」として提訴した。
 このニュースは県民にどのように受け取られているのだろうか。避難指示をされなかった地域の住民は「避難指示を受けた双葉郡の人々はいまだに手厚く守られている。我々は避難しないで我慢したのだ。
 指示をされなかった地域から避難したのは自主避難した人たちの勝手だ。」「家賃を払うと生活出来ないというのはおかしい。では事故以前はどうやって生活していたのだ。」と県の提訴も当然と思う人が多いはず。
 では、避難指示を受けて現実に避難を経験し、今は新たな場所で暮らしている人やいまだに仮設住宅などで避難生活を続けている人は、この件をどのように感じるのだろうか。彼らは今や周囲から「避難者は賠償金で立派な家を建ててたり、贅沢な生活が出来ていて羨ましい、まとまった金を貯金しているはずだ」という視線を感じながら暮らしている。
 記事にあるように自主避難者が「無料措置延長」を主張して争いごとになることは、一般県民の「原発関係の手厚い保護」に対する嫉妬心、反感をさらに煽る結果になるのではないかと心配している。
 今年4月に「避難は自己責任」などの発言を行った今村復興大臣が辞任した。新たに大臣に就任し先ごろ再任された吉野正芳氏は、「支援を求める人がいる限り、最後の一人まで支援する」と述べているが、地元出身の大臣が本当の地元の状況を踏まえずに建前ばかりを言っていると地元はかえって混乱する。

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